6月14日(月) 7:00〜

「そういえば、もうすぐテストだったな」

「ですよ〜。その様子だと余裕って感じですね」

「どうだろうな。普段から勉強はきっちりとしてるから、テスト前だから、どうこうっていうのはないかな」

「さすがは「超人」さん、ですね」

「はっ!?お、お前、それ誰から聞いた・・・・・・いや、いい。言わなくても分かるわ」

「うふふ。真美さんから聞いました。王野さんの中学生時代のこと」

「真美のやつめ、余計なことを・・・・・・」

「いいじゃないですか。どうして隠してるんですか?高校ではあまり目立った成績とられてませんよね?」

「めんどくさいからだよ。中学生の時にそれでいろんな生徒から妬まれたんだ。もう、あんなことは嫌なんだよ」

「なるほど。そういうことでしたか」

「あぁ、だから、そのこと誰にも言うなよ」

「大丈夫ですよ。王野さんも知ってるでしょ?私、友達いないので」


 氷室さんは少し寂しげな笑顔でそう言った。


「それ、もう言うな」

「え・・・・・・」

「友達ならちゃんといるだろ。俺とかあの2人とか」

  

 俺がそう言うと、氷室さんは驚いたような顔でこっち見ていた。

 

「どうした?」

「いえ、そうですね。王野さんと山崎さんと真美さんは友達です」

「だろ」

「はい。でも、・・・・・・友達か〜」

「ん?」

「なんでもありません」


 氷室さんは少し頬を赤くして窓の方を向いてしまった。

 それから、しばらくお互いの時間に入った。氷室さんは勉強を、俺は読書をした。

 だが、俺は読書に集中することができなかった。どうしてもあのことが気になった。

 いっそ聞いてみるか・・・・・・。


「氷室さん」

「はい」

「聞きたいことがあるんだが、いいか?」

「なんでしょう?」

「あのさ、俺たちって・・・・・・」


 廊下からドタバタという足音と2人の声が聞こえてきた。

 あいつら・・・・・・。


「絶対に負けない!」

「俺だって負けん!」


 この声はあいつらだ。

 まったく、邪魔しやがって・・・・・・。


「また、後で言うわ」

「そうですか?でも、私、今日はお昼で帰るので、また後で電話しますね」

「仕事か?了解」

 

 氷室さんと親しげに話していたら、またちゃかされそうだと思ったので、今はやめておくことにした。

 それからすぐに、予想通り『バカップル』が教室の中には同時に入ってきた。


☆☆☆

次回更新18時!


次回、いよいよ・・・・・・!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る