第188話 クリスマス編 part10 四人で過ごすクリスマス・イブ④

 リビングに戻ると姫香の隣に真美がいて、一緒にハンバーグを丸めていた。

 どうやら、俺の役目はなくなったらしい。


「真美ー。ちゃんと手洗った?」

「もちろん!洗ったよ〜!」

「ならよし!楽しんで!」


 というわけで、お役御免になった俺は歩と一緒にソファーに座った。

 

「翔、今年は雪降ったね」

「そうだな。去年は降らなかったもんな」

「誰かさんに彼女ができたからかな」

「うっせぇ。そんなわけがあるか。たまたまだろ」

「どうだろうねー。あれだけ数々の女子からの告白を断ってた翔が珍しいことしたからかもよ」

「昔のことは忘れたよ」

「この、イケメンが!」

 

 と、歩は俺の横腹を小突いてきた。

 

「それにしても、いい景色だね」


 俺と歩はキッチンで楽しそうにハンバーグを丸めている美少女二人のことを眺めていた。

 

「そうだな」

「なんかこうしてると新婚夫婦の家に遊びにきた友達って感じたね」

「は?逆だろ。新婚夫婦を家に招き入れた友達だろ」

「いやいや、どっからどう見ても翔達の方が新婚でしょ」

「まぁ、たしかに歩達は新婚って感じじゃないな」

「そうそう。俺たちは熟年夫婦って、まだ若いわ!」

「ナイスノリツッコミ」


 さすがは『バカップルのツッコミ担当』。

 久しぶりにこのノリをやったがいいな。


「なんだかんだ翔もテンション上がってんだな」

「まぁな」

「当然か。今日はクリスマス・イブだもんね!」


 そう。今日はクリスマス・イブ。

 少しくらいいつもと違う自分になってもいいだろう。

 それにこの三人には気を遣わなくてもいいからな。


「二人とも~!そろそろハンバーグができるよ~!」


 キッチンの方から真美が言う。

 俺と歩は返事をして立ち上がると、ハンバーグの乗ったお皿を運ぶためにキッチンの方に向かった。


☆☆☆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る