第243話 愛してるゲーム【高校生編】
4月のリメイク版のためのリハビリ笑
☆☆☆
ある休日のこと。
「翔君。愛してるゲームって知ってますか?」
昼食を食べ終えて、まったりとした時間を過ごしていると姫香が当然そんなことを言い出した。
高校生の間の流行などあまり知らなかった翔は首を横に振った。
「なんだそれ?」
「やっぱり知りませんか」
姫香はですよね、と微笑んで『愛してるゲーム』なるものを説明してくれた。
「私もよく分からないんですけど、お互いに向かい合って交互に愛してると相手に言い合い、先に照れた方が負けというゲームらしいです」
「それを姫香に教えたのは真美だろ?」
翔がそう聞くと姫香は苦笑いを浮かべて「そうです」と頷いた。
そんなくだらないを教えるのは真美くらいなものだ。
あの二人ならよくやってそうだし。
とういか、ゲームじゃなくて普通に言い合っているだろうしな。
「で、それを俺に教えたわけは? まさか、やりたいとか言うんじゃないだろうな?」
「そのまさかですね。やりませんか? 愛してるゲーム」
「本気か?」
答えを聞くまでもなく姫香が本気だということはその瞳から伝わってきた。
姫香の深紅の瞳は好奇心に満ち溢れていた。
どうやら回避不可と悟った翔はしばしば頷いた。
やる前から結果の見えている勝負をどうしてしないといけないのか。
「やるのはいいけど結果は目に見えていると思うけど本当にやるんだな?」
「はい」
「分かったよ。で、どちらから先に言う?」
「なんだか翔君。余裕そうですね。なら、私からでもいいですか?」
翔はどうぞと頷いた。
「では・・・・・」
さすがは姫香。主演を演じたことのある女優だ。
雰囲気を作るのが上手い。
姫香は甘い雰囲気を作り出すと、優しく微笑んで「翔君。愛してます」と心を込めて言った。
これから言われると知らなかったら翔は確実に照れていただろう。
事前に言われると知っていたから何とか耐えれたものの、もちろん姫香の「愛してる」の破壊力は凄い。翔は姫香に気づかれない程度に頬をピクっとさせた。
「ダメでしたか。1回で勝負を決めるつもりでしたのに」
「じゃあ、次は俺の番だな」
「どこからでもどうぞ」
姫香も絶対に照れないぞと意気込んでいるが、その意気込みはあっさりと崩れ去ることになる。
翔は姫香の耳元で囁くように「愛してるぞ」だけ言った。
耳元で囁かれた姫香は「きゃ」と声を上げると少しだけのけぞった。
「み、耳元で言うなんてずるいです!」
「耳元で囁いちゃダメなんてルールはないだろ?」
「むぅ! もう一回です!」
「何回やっても結果は同じだけどな」
二回目の愛してるゲームが始まった。
先ほど同様に姫香が先攻だ。
「絶対に翔君を照れさせます!」
と、意気込んだ姫香はさっきの翔の戦法で攻めてきた。
翔の耳元で姫香が「愛しています」と囁いた。
これも姫香が近づいてきたことにより予想できたので、顔に出さずに内側にだけでとどめることができた。
「なんで、照れないんですか」
翔が照れていないことに姫香は若干不服そうだ。
別に照れてはいるのだが、顔に出していないだけ、何で言ったら姫香はそんなのずるいですと頬を膨らませるだろう。
「もしかして、私のこと嫌いになったんですか・・・・・・照れてくれないと、やです」
二回目にしてすっかりと心が折れてしまったのか姫香は今にも泣き出しそうだった。
そんな姫香を見てもちろんほっとけるわけがなかった翔は姫香のことを抱き寄せた。
そして、姫香の頭を優しく撫でると、できるだけ優しい声で「愛してるに決まってるだろ」と言った。
「嫌いになるわけないだろ。てか、俺だって照れてるんだよ。ただ顔に出さないように我慢してるだけで・・・・・・」
「本当ですか?」
「本当だ」
「じゃあ、照れてる顔を見せてください」
「もう一回言ってくれたら照れるかもな」
翔がそう言うと姫香はもう一度翔の耳元で「愛してますよ」と囁いた。
我慢をすることをやめた翔は頬を赤くして、姫香から目を逸らした。
「ふふ、本当に照れてたんですね」
「これで満足か?」
「はい。翔君の照れてる顔が見れて大満足です」
すっかりと元気を取り戻した姫香は翔の照れ顔を見たら満足そうに笑った。
その後、姫香は何度も翔に「愛してる」と言い翔はしばらく頬を紅潮させたままだった。
☆☆☆
四月からリメイクを投稿します!
よければそちらも読んでください✨
かなり内容が変化しますが面白さと甘々さは変えないつもりです!笑
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