第227話 大学編part27 四人で温泉旅館④
翌朝、誰よりも早く目を覚ました俺は窓の側に設置されていた椅子に座って朝日に照らされながら読書をしていた。
今読んでいたのは誕生日の時に真美たちがプレゼントしてくれた本の最後の一冊だった。
もらった本を全て読み切るのに数ヶ月はかかった。
大学生活が意外と忙しかったり、姫香と同棲を始めたり、バイトを始めたりと、なかなか読書の時間が取れていなかった。
だから、こうした静かでまったりとした時間は重要だった。
そして、読書をすること一時間。
次に起きてきたのは意外にも真美だった。
「おはよう〜」
目を擦りながら間伸びした声で近づいてきた真美。
寝起き姿の真美は浴衣がはだけていて目のやり場に困る。
そんな真美を見ないように俺は「おはよ」と挨拶を返した。
「何してんの〜?」
「読書。真美、その・・・・・・まず浴衣整えてくれ」
「ああ。ごめん」
さっと浴衣を直した真美は「顔洗ってくるね〜」と洗面台の方に向かっていった。
まったく、自由なやつだ。
それからすぐに戻ってきた真美は俺の前の席に座った。
「で、何読んでるの?」
「これだな」
「あーそれ!わたしが翔「プレゼントした本?」
「の、最後の一冊」
「へぇー!全部まで読んでくれたんだ!被ったのなかった?」
「何冊かあったな」
「やっぱりか〜!」
嬉しそうに「あはは」と笑う真美。
「てか、全部読んでくれるなんて律儀だね〜」
「そりゃあ、プレゼントだからな。それに、オススメされた本は読まないと。知らない作家さんとか普段あんまり読まないジャンルとか。新しい発見があるかもしれないからな」
「それは分かるかも!歩からオススメのSF小説を教えてもらうんだけど、私って普段SFはあんまり読まないから、面白いのかなって思ってたら、これが意外と面白かったりするのよね〜!そんな出会いがあるから読書ってやめれないよね!」
なんて話をしている真美はすっかりと読書家の顔をしていた。
本の話をしている時の顔がキラキラと輝いている。
「何?私の顔に何かついてる?」
そんな真美のことを見つめていたらそう言れた。
「いや、真美もすっかりと読書家だなと思ってな。俺の周りに読書好きが増えてくれて嬉しいよ」
「こんなに読書が楽しいって分かってたら、もっと早くからちゃんと本を読んでたのに!」
「別に遅くはないだろ。むしろ、早く気がつけてよかったな。まだまだ人生は長いからな。ゆっくり焦らず楽しみながら読めばいいさ。まぁ、それでもこの世にある全部の本を読むことは不可能なんだけどな」
「たしかに!この世界に本ってどのくらいあるんだろうね。本当、不思議だよね本って」
「人の数だけ本があるからな」
「何キザなこと言ってんのよ!」
腹を抱えて笑う真美の笑い声に姫香が目を覚ました。
姫香は浴衣がはだけるということはなかったらしい。
綺麗に浴衣を着こなしに姫香が近寄ってきた。
「おはようございます真美さん。何笑ってるんですか?」
「おはよ。姫香ちゃん。翔がね、キザなこと言うから、笑ってたの」
「それは、聞きたかったです」
「だってさ翔。もう一回言ってあげたら?」
「言わない」
「なんでですか。言ってくださいよ」
そう言って頬を少し膨らませる。
「頬を膨らませても言わない」
「むぅ〜」と姫香は頬をさらに膨らませる。
「じゃあ、私が言ってあげる!」
俺がその口を塞ぐより先に真美はさっきの言葉を言った。
その言葉に姫香は「そうですね〜」と頷いたのだった。
☆☆☆
あとがき
世の中にあるすべての本を読むのが夢(絶対に無理笑)
死ぬまで本を読み続けたいし、
物語を書き続けたなあ〜
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