番外編② 7/11(日)『姫香とパン屋』
その日は朝から、姫香と一緒に商店街を歩いていた。
ここは、図書館に行くためによく通っているところで、どこに何があるのかをだいたい把握している。
「ここ、初めて来ました。いろんなお店があるんですね〜」
姫香は商店街に初めて足を踏み入れたらしく、物珍しそうに辺りをキョロキョロと見渡して、目を輝かせていた。
「楽しそうだな」
「はい。楽しいです!初めての体験ってワクワクしませんか?」
「するな」
「でしょ!」
「それにしても、今日はテンション高いな」
「久しぶりの日曜休みですからね。それに、2日連続で翔君に会えてますから」
「そっか」
そういえば、いつも日曜日は仕事だもんな。
学校では毎日のように会ってるけど、休日にこうやって会うのは、また別だからな。
「それで、どこに連れて行ってくれるんですか?」
「まぁ、着いてからのお楽しみだ」
「そんなこと言われると期待しちゃいますよ?」
「姫香が好きかどうかは分からないけどな」
「でも、翔君が好きな場所なのでしょう?」
「まぁな」
「じゃあ、きっと大丈夫です!」
姫香は微笑んだ。
そして、手を差し出してきた。
「さ、エスコートしてくださいな」
「お姫様の仰せのままに」
「くるしゅうない」
そんなくだらいやりとりをして、お互いに笑い合った。
俺は姫香の手を取り目的地までエスコートした。
今日の目的地は俺の行きつけのパン屋さんだった。休日に図書館に行く時はいつもこのパン屋さんでパンを買っていっていた。
「さ、着きましたよ。お姫様」
「まだ、続けるのですか?それ?」
「ダメだった?」
「いえ、少し恥ずかしいので・・・・・・」
「そっちが、先に始めたくせに・・・・・・」
「だって・・・・・・」
お互いに恥ずかしくなって、無言でパン屋の中に入った。
しかし、パンのいい匂いを嗅いだ姫香は、恥ずかしさなど、どこかに飛んでいったかのようにキラキラと深紅の瞳を輝かせた。
「うわぁ〜!凄いです!どれも美味しそうです!私、パン大好きです!」
「そっか。よかった」
「選んでもいいですか!?」
「うん。いいよ」
俺が頷くと姫香はお盆とトングを手に取り、パンを選びに向かった。俺もその後を追いかける。
まずは菓子パンのコーナーから見ていった。
「わぁ!メロンパン!」
「お、メロンパンがお好きなのですか?姫は?」
「もぅ!だから、それやめてくださいってば!メロンパン大好きです!」
「俺も好き」
「そうなのですね。じゃあ、買いましょう!」
そう言って、姫香はメロンパンは2つお盆に乗せた。
次に惣菜パンのコーナーに向かう。
ここのパン屋さんは本当に種類が豊富だ。何度来ても飽きることのない。毎月、新しいパンも出してるし、季節限定のパンもある。
「カレーパン美味しそうです」
「美味しいぞ」
「じゃあ、買います!」
「即答だな」
「翔君のオススメに間違いはありませんから!」
「じゃあ、次は美味しくないのオススメしようかな」
「もぅ!意地悪しないでください!」
姫香は頬を膨らませながら、カレーパンをお盆の上に乗せた。
「それで、翔君はどれにしますか?」
「俺はソーセージロールにしようかな」
「それも美味しそうですね!」
そう言いながら姫香はソーセージロールをお盆に乗せた。
レジでお会計を済ませて俺たちはお店を出た。
「お店で食べないので?」
「もっといいところに行くから」
「そうなのですね。楽しみです」
パンを買った俺たちが向かったのは図書館の前にある森林公園だった。
☆☆☆
作者はメロンパンが大好きです!笑
何パンが好きですか?笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます