クリスマス&お正月編

第179話 クリスマス編part1 二人で映画を観る①

  体育祭と文化祭が終わり、今年の学校行事も終わりを迎えた十二月上旬。

 姫香は毎日忙しそうにしていた。

 それもそのはず、姫香が主演を務めた映画が来週には公開になるからだ。 

 遅れて学校に来たり、途中で早退したりと、ほとんど学校にはいなかった。その代わり、テレビの中で姫香のことをよく見かけていた。


「また、今日もテレビに出てるな」

「たくさん出演しましたからね」

「そっか。お疲れ様」

「というか、恥ずかしいので私が出てる番組を見るのはやめてください」


 そう言って姫香はテレビを消した。

 

「なんで消すんだよ」


 俺は姫香の手からテレビのリモコンを奪って、テレビをつけた。


「恥ずかしいからに決まってるじゃないですか……!」


 姫香が俺の手からリモコンを奪い、またテレビを消した。


「映画、一緒に見るんじゃないのか?」

「そう……ですけど」

「このテレビの何倍もある大きなスクリーンに姫香が映るんだぞ。こんなので恥ずかしがっててどうするんだよ」

「とにかく、恥ずかしいものは恥ずかしいんです!」

「仕方ないな。姫香が家に帰ってから一人で見るか」

「見ないでください!録画を消します!」

 

 そう言ってリモコンを操作して録画画面を映した姫香の手からリモコンを取り上げた。


「消させないよ?」

「返してください!絶対に消します!」

「まぁ、録画をけされてもパソコンに残ってるけどね」

「なら、パソコンも壊します!」

「それはやめてくれ。姫香の活躍をいつか子供に見せてやりたいだろ」

「それは……」


 俺がそう言うと姫香は顔を真っ赤にしながら画面操作をやめリモコンをサイドテーブルの上にそっと置いた。

 どうやら姫香も自分の子供に自分の活躍を見せたいらしい。


「し、仕方ありませんね!そういうことなら残しておいてあげます!」

「ということで、さっきの続き見てもいいか?」

「ダメに決まってます!」


 結局その日はそれ以上姫香が出演しているテレビを見せてくれることはなかった。 

 姫香が帰った後に見たことは、姫香にはもちろん内緒だ。

  



☆☆☆


 クリスマス・お正月編スタートします!

 もうしばらくお付き合いいただけると嬉しいです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る