第178話 文化祭編part10文化祭後日

「これでしばらくは自由だー!」


 いつものごとく俺の家にやってきていた『バカップルのボケ』担当の歩が伸びをしながらそう言った。

 もはや、放課後だけでなく休日までも俺の家で過ごすことが定番化しつつあった。

 今日は文化最後の振り替え休日だった。


「でもこれで今年はもう何もないね~」

「そうだね」


 なんてことを言いながらソファーに座って肩を寄せ合っている。

 まるで、ここが自分たちの家かのように。

 その様子を俺と姫香は地べたに座って見せつけられてた。


「お前らな。俺の家に来るのはいいけど、イチャつくのはやめろ」

「こんなのイチャつきのうちに入らないわよ。私たちはただ座ってるだけだもの!」

「翔。もしかして羨ましいのか?」

「え~。そうなの~?」


 ニヤニヤと俺のことを見てくる『バカップル』。

 その顔を見て今すぐにでも家から追い出してやろうかと思った。

 

「翔君もやりたかったのですか?」

「姫香……二人の言ってることを真に受けなくていいからな?」

「そうですか……」


 隣に座っていた姫香はしょんぼりとした顔をしてコーヒーを口に運んだ。


「やってあげなさいよ!姫香ちゃんが可愛いそうでしょ!」

「そうだぞ、翔!これくらい恥ずかしがらずにできるようにならないと先に進めないぞ!」

「なんだよ先って……」 

  

 歩の言わんとすることはなんとなく分かるが、人前でイチャイチャする趣味は俺にはない。

 だから、やるとしても、『バカップル』が帰った後だ。

 俺はそう思っているのに、どうやら姫香はそうではないらしい。


「やってくれないのですか?」


 そう言って俺のことを上目遣いで見つめてきた。


「やらない……今は」

「今はってことはやってくれるってことですか?」

「そうだな。そこのバカップルが帰ったらな」

「え~。そんなに二人っきりになりたいの~?」

「じゃあ、俺たちはお邪魔みたいだし帰ろうか」

「そうね~。私たちはお邪魔虫みたいだし、帰りましょうか」

 

 本当に帰るつもりなのか、二人は立ち上がった。


「え、本当に帰ってしまうのですか?」

「うん。というかね、これから用事があるのよ」

「あ、そうなんですね」

「だから、後は二人でごゆっくり~。また修学旅行の話とかしようね!」


 これから用事があるという二人を玄関まで見送った。

 残された俺と姫香はリビングに戻り、さっきまで『バカップル』が座っていたソファーに座った。


「これから、どうする?せっかくだし、俺たちも外に出かけるか?」

「それもいいですけど、のんびりしたいですね。まだ昨日の疲れが少しとれてないので」

「じゃあ、のんびりとするか。お昼は俺が作るよ」

「ありがとうございます。夕飯は私が作りますね」

 

 のんびりしたいといった姫香の言葉通り、その日、俺たちはのんびりと過ごすことにした。

 お昼ご飯を食べ終えて、眠くなった俺たちはいつの間にか、ソファーで肩を寄せ合って眠っていた。


☆☆☆


 これにて、文化祭・体育祭編は終了です!

 次回は何編になるのは……。

 お楽しみに~!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る