第193話 クリスマス編part15 2人でのクリスマス③

 ケーキを買った俺たちは一旦家に戻り昼食を食べると、また外にいた。

 今度はクリスマスプレゼントを買いに行くことになっていた。

 なんでも姫香がお揃いで買いたいものがあるということだった。


「そろそろ何を買うつもりなのか教えてくれない?」

「まぁまぁ、もう少しで到着しますから」


 そう言って姫香は何を買うのか頑なに教えてくれない。

 一体何を買うつもりだろうか。

 

「そこまで隠されると気になるんだけど」

「大丈夫ですよ。まともなものですから」

「それは心配してないけど……」

「信頼してくれてるんですね」

「あたりまえだろ」


 そう言うと姫香は嬉しそうに笑った。

 これだけ長い時間を共に過ごして、信頼してないわけがない。

 

「私も翔君のことを信頼してますよ」

「そりゃあ、ありがとう」

「だから、裏切らないでくださいね?」


 姫香の口元は笑っているが、その深紅の瞳は笑っていなかった。


「怖いからその目をやめてくれ。裏切るわけないから」

「その言葉信じますからね」


 今度は口元だけじゃなくて瞳も笑っていた。

 そのことにホッとすると、どうやらお店に到着したらしい。

「ここです」と姫香が言った。


「ここって……」

「はい。指輪屋さんです!」

「なぁ、もしかしてだけど……」

「翔君が考えてることは何となく分かりますが今回は違いますよ」

「じゃあ、何を……」

「まぁまぁ、入りますよ」


 姫香に背中を押され俺はお店の中に入った。

 お店の中に入ると美人な店員さんに出迎えられた。

 

「いらっしゃいませ。本日は何をお求めでしょうか?」

「すみません。ピンキーリングってありますか?」

「ピンキーリングですね。ございますよ」


 笑顔でそう言うと女性の店員さんは俺たちを案内してくれた。


「買いたい物ってピンキーリングだったんだな」

「婚約指輪だと思いましたか?」

「そ、そりゃあ思わなかったと言ったら嘘になるけど……」

「くれるんですよね。婚約指輪?」

「いずれな」

「その時を楽しみにしてますね!」


 今朝よりも嬉しそうな顔で笑った姫香。

 この笑顔を曇らせないようにちゃんと約束は守らないとだよな。

 これから指のサイズを測るだろうから、それをしっかりと覚えておくとするか。

 いつの日か来るその時のために。


☆☆☆

 

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