6月10日(木) 16:00〜

 その日の放課後。

 昼休憩に話をした氷室さんがやりたい青春ぽいことの一つをやることになった。

 

「じゃあ、帰るか?」

「はい!よろしくお願いします!」


 『バカップル』は部活があるらしく、教室で別れ、俺と氷室さんは2人で自転車小屋の前にいた。

 

ーーー私、自転車の2人乗りをしてみたいです。


 昼休憩に氷室さんがそう言った。

 ちょうど、今日は自転車で来ていたので、せっかくならやってみるか?と提案し、氷室さんが頷いたので、実行することになった。


「氷室さん、自転車は乗る?」

「それが、乗ったことないんですよね」

「マジか・・・・・・今どき珍しいな。子供の頃にしなかったのか?」

「そうですね。子供の頃は自転車より夢中になってるものがありましたから」

「そうなんだ」

「はい」


 自転車小屋から自分の自転車を出して、カゴの中に2人分のカバンを入れた。

 

「行くか?」

「私はどうしてればいいですか?」

「そうだな。落ちないように俺にしっかりとしがみついてくれたらいいかな」

「わ、分かりました!」


 俺は自転車に跨り、氷室さんは後ろの荷台に乗った。そして、俺の腰に手を回してくる。ぎゅーっと抱きつくように。  

 むにゅっと柔らかい感触が背中に伝わってくる。


「いやいや!?たしかに、しっかりしがみついて、とは言ったけど、そんなに密着しなくてもいいからね?」

「え?そうなのですか?」

「うん。そんなにひっつかれると自転車こげなくなるから」


 色んな意味で・・・・・・。

 

「分かりました。このくらいでいいですか?」


 俺の体と氷室さんの体の間に少しだけスペースが空いた。

 まぁ、このくらいならいいか。


「うん。大丈夫。じゃあ、行くよ?」

「はい!がんばってください!」


 氷室さんを後ろに乗せて、俺は自転車を漕ぎだした。

 とりあえず、目指すは氷室さんの家。

 慎重にに自転車を進めていく。なぜなら、後ろには氷室さんが乗っているから。氷室さんは今話題のモデルだ。もし、怪我でもさせたらと思うと・・・・・・。


「風が気持ちいいですね」

「そうだな」

「自転車ってこんな感じなんですね。なんだか、乗ってみたくなりました」

「練習してみるか?」

「してみたいんですけど、怪我しそうなのでやめときます。マネージャーに怒られちゃいますから」


 ますます、怪我させわけにはいかないな・・・・・・。


「安心して、ちゃんと安全運転で行くから」

「信じてますよ。無事に家まで送り届けてくださいね!」


 その後は特にハプニングもなく、無事に氷室さんの家に到着した。


「着いたよ」

「ですね〜。なんだか、もう少し乗っていたかったです」


 氷室さんは少し残念そうに自転車から降りる。


「でも、楽しかったです!夢が一個叶いました!ありがとうございます」


 そして、丁寧にお辞儀をした。


「どういたしまして」

「それじゃあ、私はこれで帰りますね。また明日」

「あぁ、また明日な」


 もう少し乗っていたかった、か・・・・・・。

 俺は頭の後ろをガシガシと掻いて遠ざかっていく氷室さんの背中に声をかけた。


「氷室さん」

「はいっ!」


 俺に名前を呼ばれて、氷室さんは、なぜか肩をビクッとさせた。


「その、こんなんでよかったらいつでも言ってくれ」

「え?」

「また一緒に乗ろう。自転車」

「はい!また一緒に乗りたいです!」


 氷室さんは今日1の最高の笑顔を俺に向けた。

 俺はその笑顔に見送られながら、自分の家へと帰っていった。


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ここまで読んでいただきありがとうございます! 


読者の皆様のおかげで

週間ランキング3位✨

日間ランキング2位✨

という、作者史上初の快挙となりました😭

次は一位目指します🥇


これから、もっと面白い展開にしていくつもりですので、引き続き読んでいっていただけると嬉しいです😁


いつもありがとうございます✨

 


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