第202話 新生活編part②
「いや、言葉通りの意味じゃなくてだな・・・・・・」
「じゃあ、どういう意味なんですか!?」
「そうだな。姫香の可愛さに殺される、かな」
「ああ、そういうことですか。そういうことなら、しっかりと殺してあげますよ?」
人差し指を唇に当て、妖艶に微笑む。
高校生の時からすでに可愛かった姫香だが、今はそれに加えて大人っぽい色気も兼ね備えつつあった。
☆☆☆
「うん。姫香には似合わないからそんな言葉を使うのはやめようか……」
「分かりました。半殺しにします」
「だからやめろって。わざと言ってるだろ」
「バレましたか」
姫香は可愛らしくてへっと下を出した。
「なんか、姫香いつもよりテンション高くないか?」
「そりゃあ高くもなりますよ!念願の翔君との同棲生活が始まろうとしてるんですよ!翔君はテンション上がらないのですか?」
「もちろん。上がってるに決まってるだろ」
そう言って俺は姫香の肩を抱き寄せる。
そして、「か、翔君……」と驚いている姫香の耳元で囁いた。
「俺のこと殺すんだろ。こんなことで驚いてて大丈夫なのか?」
「むぅ~!そんなこと言うなら絶対に翔君のことを殺しますからね!覚悟しといてくださいね!」
頬をこれまでかというくらい膨らませた姫香は立ち上がって、荷解きを再開した。
姫香が荷解きを再開したので俺も自分の分を片付ていく。
自分の部屋に向かい、本棚に本を並べていく作業に没頭していると、いつの間にか夕方になっていた。
「翔君~。ご飯できましたよ」
「え、もうそんな時間か?」
姫香が俺を呼びに来た。
「随分と集中されてましたからね」
「ごめん。自分の世界に入ってた」
「いいんですよ。それより、ほらご飯食べましょう」
腕を組んでわざとその豊満な胸を押し付けてくる姫香。
相変わらず、姫香にこうされるのはドキドキする。
俺はドキドキしていることを顔に出さないように努める。
「このくらいではドキドキしてくれませんか……」
「そ、そうだな」
「むぅ~。悔しいです!」
腕を離し姫香は俺の後ろに回った。
何をする気なのかとその様子を目で追っていると、いきなり抱き着いてきた。
「ひ、姫香!?」
「これならドキドキしてくれますか?」
背中越しに顔をひょこっと出して姫香が俺のことを見上げてくる。
正直、もう心臓がはち切れそうなくらいドキドキしていた。
「ドキドキしてるから……」
「本当ですか?」
「本当です……」
姫香が可愛すぎてもう見ていられない。
同棲生活初日からこんな調子で大丈夫なのだろうか。
本当に殺されてしまうのではないだろうか?
姫香の可愛さに……。
「こ、こんなのはまだ序の口なんですからね!」
そう言った姫香の顔は真っ赤だった。
俺から離れた姫香は恥ずかしさを隠すように先にリビングに行ってしまった。
その後ろ姿を見ながら俺は深呼吸をする。
心を整え、俺もリビングに向かった。
☆☆☆
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