6月9日(水) 16:00〜

 放課後。

 氷室さんは仕事があるらしく、午後の途中で帰ってしまった。

 俺と『バカップル』はファミレスでポテトフライを囲んでいた。


「それにしても、昼休憩の氷室ちゃん可愛かったね〜」


 真美がおっとりとした表情でそう言った。

 その顔は心底氷室さんに惚れている表情だ。もちろん、その顔は歩にも見せている顔だ。


「でも、あの表情を引き出せるのが、翔だけってのは、いただけないな」

「ほんと、それ!悔しすぎ!」

「どこ、張り合ってるんだよ。お前ら」

「だってね〜。あんな可愛い笑顔、写真でも見たことないよ〜」

「マジで可愛かったよなー」


 『バカップル』はお互いに見つめ合ってうっとりとしてる。

 まったく、鬱陶しい・・・・・・。

 イチャイチャなら、他所でやってほしいんだが・・・・・・。


「で、どうやってあそこまで仲良くなったんだよ?」


 ポテトフライを一本加えて、不満そうに言う。

 不満そうにされてもな・・・・・・。

 まぁ、仲良くなったきっかけはいくつか思いつくけど、言わないとダメか?


「なんだよ。言いたくないのかよ」

「いや、そういうわけじゃ・・・・・・」

「まぁ、無理にとは言わねぇけどな。やっぱり、気になるよな〜」

「私もめっちゃ気になるんだけどな〜!」


 『バカップル』は息ピッタリ。俺のことを不満そうな顔で見ている。


「分かったよ。その代わり、条件付きだ」

「なんだ?」

「俺たちに勝つこと」

「何に〜?」

「ほら、お前たちが俺と勝負してる、例のアレ」

「なるほどな」

「そういうことね」


 2人はまた息ピッタリで納得した顔になる。


「てか、翔、俺たちって言ったか?」

「言ったな」

「どういうこと〜?」

「そのままの意味。俺よりも氷室さんの方が早いからな」

「「え!そうなの!?」」


 声を揃えて驚く2人。

 本当にいいカップルだな。


「ということで、頑張ってくれ。お二人さん」

「マジか・・・・・・一体何時に起きればいいんだ」

「私には無理だから、歩お願い・・・・・・」

「ぐぬぬ。氷室さんの可愛い顔を見るため!俺は頑張るぞ!真美!」


 ぐっと拳を作って息巻く歩。

 まぁ、せいぜい頑張ってくれ。

 俺でもまだ一回しか勝ててないからな。しかも、その一回は氷室さんが風邪で休んだ時だけ。

 そういえば、俺も氷室さんと勝負する約束をしたんだったな。

 歩には悪けど、明日は俺が絶対勝つ。

 

「まぁ、せいぜい頑張れよ」

「敵に塩を送るとは、随分と余裕だな翔!後悔させてやるからな!」


 その後は『バカップル』の氷室さんを褒める会が始まり、俺は氷室さんのことを色々と知ることとなった。


☆☆☆

週間ランキング12位✨

日間ランキング4位✨

達成!!

ありがとうございます😆

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