6月9日(水) 20:00〜『氷室さんのお願い』
2人と別れた後、俺は1人本屋に寄った。
『バカップル』曰く、氷室さんが表紙を飾ってる雑誌が販売中とのことだった。
よく考えたら、普段の氷室さんは知ってるけど、モデルの時の氷室さんは知らなかった。だから、興味本位で見てみようと思った。
あの2人があれほどまでに惚れ込んでる『深紅の瞳を持つ天使』の姿を。
お目当ての物は雑誌コーナーに行くとすぐに見つかった。それもたくさん。
氷室さんは数種類の雑誌の表紙を飾っていた。
「本当に有名モデルなんだな」
その中の一つを手に取って眺めた。
そこには綺麗にメイクされて、オシャレな服を着て、普段とはまた違った可愛らしい笑顔でカメラ目線をしている彼女がいた。
「凄いな・・・・・・」
思わず、感心してしまった。
「せっかくだし、買って帰るか」
雑誌を買うことで氷室さんに貢献したことになるかは分からないが、応援の意味も込めて、俺は手に取った雑誌を買うことにした。
袋に入れてもらった雑誌をカバンの中に入れ本屋を後にした。
☆☆☆
ヴー。ヴー。ヴー。
夕飯とお風呂を済ませて、課題に取り組んでいると、スマホが振動していた。
「誰だ?」
手を止めスマホを手に取った。
氷室さんからだ・・・・・・。
こんな時間にどうしたんだろう。
俺は緊張しながら電話に出た。
「もしもし」
『もしもし!王野さん!』
「どうした?テンション高いな。仕事は終わったのか?」
『はい!終わって、ちょうど家に着いたところです!』
ということは、氷室さんは家に着くなり、すぐに俺に電話をかけてきたということか。よっぽど急ぎの用件なのかもしれない・・・・・・。
もしかして、課題の件か?氷室さんが帰った後の授業で課題が出された。俺はその課題に取り組んでいる最中だった。
真美辺りから聞いたのかもしれないな。いや、それなら、真美から聞くか・・・・・・。
「それは、お疲れさん。で、どうしたんだ?いきなり電話してきて」
『ありがとうございます!あ、ところで、お時間は大丈夫ですか?』
「まぁ、大丈夫だぞ。長話するつもりなのか?」
『そんなに長くは・・・・・・たぶん、なりません』
「じゃあ、大丈夫だ。後は課題して寝るだけだったしな」
『え?課題が出されたのですか?』
あれ?この反応は・・・・・・。
どうやら、氷室さんの用件は課題のことではないらしい。
じゃあ、なんなんだ・・・・・・?と、考えつつ氷室さんの質問に答える。
「あぁ、氷室さんが帰った後の数学の授業でな」
『あの、課題の範囲、後で教えてもらっても?』
「もちろんいいぞ」
『ありがとうございます!』
それにしても、いつもよりテンションが高いな。
仕事が終わって解放されたからか?それとも何がいいことあったとか?
とにかく、電話越しの氷室さんの声は弾んでいた。
「そういえば、今日の帰りに本屋さんに寄って、氷室さんが表紙を飾っている雑誌を見たぞ」
『え!?』
驚いたような声を上げる氷室さん。
『な、なんで見るんですか!!?」
「いや、なんでって、歩たちがあまりにも氷室さんのことを褒めるから、興味本位でな」
『は、恥ずかしい・・・・・・』
「別に恥ずかしがらなくてもいいだろ。可愛かったぞ」
氷室さんが息を呑んだのが分かった。
『かわ!?可愛いなんて言わないでください!恥ずかしくて、死んじゃいますぅ・・・・・・うぅ・・・・・・』
語尾になるなつれて声が小さくなっていき、ついには黙り込んでしまった。
それから、沈黙が数分続き、耐えきれなくなった俺の方から口を開いた。
☆☆☆
週間ランキング8位✨
嬉しすぎる〜😂
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