第229話 大学編part29 学園祭②
今日は大学の学園祭だった。
ひとたび学園の敷地内に入ると右も左も人だかりができていて賑やかだった。
「賑やかですね~」
「そうだな」
「お祭りとかもそうですけど、こういう楽しそうな雰囲気の中にいるとワクワクしますね!」
姫香は学生たちが出店している出店を物珍しそうにキョロキョロと見ていた。
「どこに行きましょうか?」
「姫香は行きたいところがたくさんありそうだな」
「あります!」
「じゃあ、そこに付き合うよ」
「いいんですか?」
「当たり前だろ」
「なら、まずはあそこに行きたいです!」
そう言って姫香はアクセサリーを売っている出店を指差した。
「じゃあ、そこに行くか」
姫香と手を繋ぎ、そのお店へと向かう。
そのお店は手芸サークルがやっているようだった。
可愛らしい手作りアクセサリーがたくさん置いてあった。
「可愛い彼女さんですね~」
商品を物色している姫香を少し後ろで見ていると物腰柔らかそうな笑顔が素敵な店員さんにそう声をかけられた。
「はぁ、ありがとうございます」
「うちの学生さんですか?」
「はい」
「そうなんですね~。ところで、彼女さんに見覚えがあるのですが気のせいですかね?」
「たぶん、気のせいじゃないと思いますよ」
「もしかして、氷室姫香さんですか?」
そう言われ、俺は「ですね」と苦笑い気味に応えた。
さすがは姫香だな。
引退してもいまだに覚えている人がいるなんて。
「私大ファンだったんですよ~。まさか、うちの大学にいるなんて、なんだか夢のようです」
店員さんがうっとりとした表情で姫香の後ろ姿を見ていた。
すると、姫香が「翔君!」とこちらを振り返った。
「どうした?」
「これ、似合いますか!」
姫香はその真っ白な髪の毛に雪の結晶がモチーフと思われる水色の髪留めをあてていた。
それは言わずもがなよく似合っていた。
「うん。よく似合ってるよ」
「じゃあ、これ買います!すみません。これください」
「は~い。ありがとうね~」
俺と話をしていた店員さんがレジの方へ向かった。
「いくらですか?」
「1000円です」
「え、翔君?」
「俺が買うよ」
「いいんですか?」
「よく似合ってるからな。せっかくだし、プレゼントだ」
「なら、お言葉に甘えてもいいですか?」
「甘えてくれ」
「じゃあ、甘えます!」
と言いながら別の甘え方をしてくる姫香は俺の腕に抱き着いてきた。
店員さんから髪留めを受け取って、そのまま姫香の髪の毛に付ける。
雪のような真白な髪の毛にそれが付いていると、本物の雪の結晶のように見えた。
「本当によく似合ってますね~」
「ありがとうございます!」
店員さんにも褒められて嬉しそうな姫香。
その顔を見て俺も嬉しくなった。
そんな俺たちを見てまるで母親かのように微笑む店員さん。
「いいわね~。青春ね!あなたた達一年生でしょ?学園祭楽しんでね~」
「素敵な髪留めをありがとうございました!先輩も学園祭楽しんでください!」
店員さんもとい、先輩に頭を下げると俺たちは他の出店へと向かうことにした。
お昼過ぎまで、いろんな出店を見て回り、焼きおにぎりと、唐揚げ、焼きそばを買うと、俺たちは空いてるベンチに座って昼食を食べ始めた。
そんな俺たちに一人の学生が近づいてきた。
そして、まるで俺のことは目に入っていないかのように姫香に向かって言う。
「ねぇ、君さミスコンに出てみない?」
☆☆☆
しばらく18時~18時30分更新になります。
皆さんは学際の思い出ってどんなものがありますか?
何か出店したりしましたか?
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