第230話 大学編part30 学園祭③
「ねぇ、君さミスコンに出てみない?」と姫香に声をかけてきたのは見た目チャラそうな男だった。
そんなチャラ男に姫香は不審な目を向ける。
「ごめんごめん!説明不足だった!実はさ、うちの大学のミスコンは当日参加制なんだよね」
そう言ったチャラ男はミスコンの説明を一通り俺たちにした。
この大学のミスコンは学祭実行委員が当日学校に来ているうちの大学に通う生徒の中からかわいい子や美人な子に声をかけて、参加してもらうことになってるらしいこと。
ステージにあがって、何かをするというわけではなく、参加者からイチオシの写真をもらって、それを掲示板に学祭終了まで貼り、学祭に来てくれた人たちに投票してもらう形式であること。
優勝したら、大学の学食が1年間無料になるらしいこと。
それらのことを一気に話したチャラ男は姫香にもう一度「どう?」と聞いた。
そう問いかけられた姫香は「どうしたらいいですか?」と表情で俺のことを見つめてくる。
「姫香の好きにしたらいいんじゃないか?」
「私は・・・・・・正直興味ないです」
「だそうです。悪いですけど他をあたってください」
「そっか〜。それは残念だ。仕方ない。無理に参加させるわけにはいかないからね。デートの邪魔して悪かったね!この後も学祭楽しんでね〜」
そう言い残すとそのチャラ男は別の参加者を探すために走って行ってしまった。
見た目はチャラいが中身はいい奴そうだなとその背中を俺は見つめいてた。
「なんだか申し訳にないことをしましたかね」
「別に姫香が気にすることではないさ」
「そうですね。さ、私たちはデートの続きをしましょう!」
「次はどこに行くんだ?」
「次はこれに行きたいと思ってます!」
そう言って姫香が見せてきた学祭のパンフレットにはとあるアーティストのライブが行われることになっているらしく、どうやらそれに参加したいということだった。
「ライブか。しかも最近話題のアーティストじゃないか」
「この人の歌声素敵なんですよね〜。翔君といい勝負です!もちろん、翔君の方が上手ですけど!」
「そりゃあ、どうも」
「また一緒にカラオケに行きましょうね!」
「そういえば、最近行ってないもんな」
「なんだかんだ忙しですからね」
「そうだな。また、あの二人も誘ってカラオケに行くか」
「はい!楽しみにしてます!ですが今はこのSIN&REIのライブを楽しみましょう!」
「早くいかないと席取れなそうだな」
「だから、今から行くんですよ!」
そう言って立ち上がった姫香は俺の手を取り、体育館へと歩き始めた。
ライブが始まるのは一時間後。
今から行っても席はもうほとんど埋まっているかもしれない。
それほど、「SIN&REI」というユニットのアーティストは人気者だった。
途中で一度トイレに寄って俺たちは体育館に到着した。
案の定、その人気は凄く席はほとんど埋まっていた。
しかし、運がよかったらしく、空いてる席をすぐに見つけることができた。
ちょうど、隣同士に二席空いていた椅子に俺たちは横並びに座った。
「始まるまで後一時間もあるんだろ?」
「そうですね」
「暇だな」
「なら、予習しときませんか?」
「予習?」
「はい。一緒にSIN&REIの曲を聞いて待ちましょう」
そう言って姫香はバックの中からスマホとイヤホンを取り出した。
そのイヤホンをスマホに付けて片方を俺の耳に付けた。もう片方はもちろん姫香の耳に付いた。
「翔君はSINREIの曲はどのくらい聞いてますか?」
「SINREIって略すのか。なんだか、おばけみたいだな」
「それは心霊です!二人の場合は神に霊と書いて神霊と略すんですよ!」
「そうなのか」
「そうなのです!」
姫香が相当「SIN&REI」のファンだということを初めて知った。
好きな音楽の話とかはあまりしないからな。
これから少しずつでもするか。
そう思いながら「姫香のオススメは?」と聞く。
姫香と一緒に音楽を聞いていると、一時間などあっという間に過ぎ去っていった。
気がつけば、体育館の照明は消され、真っ暗だった。
☆☆☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます