第225話 大学編part25 四人で温泉旅館②
旅館散策を終え部屋に戻ると、露天風呂から上がった二人が浴衣姿でトランプをやっていた。
「あ、おかえり二人とも!」
「ただいまです。何されてるんですか?」
「スピード〜。あ、今はズルイって歩!」
「スピードに待ったはなしなんだよー!」
「あー!負けたー!」
真美が姫香と話しているうちに歩が最後の一枚を出し、勝敗が決まった。
「悔しいー!もう一回!」
「二人が帰ってきたんだからみんなでできるやつにしようぜ」
「勝ち逃げする気でしょ!?」
「バレたか!」
歩は舌を出して戯ける。
「また、後で絶対にリベンジするからね!」
「いつでもかかってこい!」
宣戦布告をする真美と受けて立つと胸を張った歩の隣に俺たちは座った。
「姫香ちゃんは何かやりたいトランプゲームある?」
「実はあんまり知らないんですよね。ババ抜きくらいしかやったことないです」
「じゃあ、いろんなゲームやろう!翔もそれでいい?」
「なんでもいいよ」
「決まりね!じゃあ最初は7並べから!」
そう言って真美は俺たちにトランプを配り始めた。
「誰かここのカード止めてるの!早く出してよ!」
「私は持ってませんからね」
「俺も持ってない〜」
「てことは翔じゃん!早く出してよ!」
「出さないのも作戦のうちだろ?」
高校生になってもトランプは楽しいのだと思わされるほど、俺たちは盛り上がっていた。
7並べをした後は神経衰弱をして、最後にババ抜きをした。
気がつけばいつの間にか17時30分。
夕飯まで残り30分となっていた。
「嘘っ!もうこんな時間なの!?」
「本当ですね。楽しすぎてあっという間でしたね」
「にしても本当に翔強すぎ。勝率9割くらいじゃない?」
「マジそれな。トランプまで強すぎるとかありかよ」
2人が悔しそうに顔で俺のことを見る。
真美の言った通り、トランプゲームでの勝率は俺が9割。残りの1割は姫香だった。
「姫香ちゃんはビギナーズラックってことで分かるけど、私たちが一勝もできないってなによ!今日寝れないんだけど!勝つまで相手してもらうからね!」
「却下だ」
「真美、トランプゲームで翔に勝てないことは分かった。だか、例のアレでは勝とう」
「例のアレとは?」
「それはまだ秘密だ」
歩がなんのことを言っているのかなんとなく想像ができる。
この旅館には卓球台があったからな。
きっと、卓球勝負をしようとか言い出すに決まってる。
「まぁ、いいや。姫香。ご飯食べる前に露天風呂に入るか?」
「そうですね。先に入ってしまいましょうか」
ということで俺と姫香はお風呂に入る準備を始めた。
一応、この部屋は二部屋あってちゃんと襖が付いている。
姫香は「準備してきますね」と奥の部屋に入っていた。
「姫香ちゃんの水着姿か〜。久しぶりに見るな〜。楽しみだな〜。私も一緒に入りたいな〜」
なんてことを言いながら俺のことをチラチラと見てくる真美。
「それは、姫香に相談してくれ」
「姫香ちゃんがいいって言ったら、一緒に入ってもいいの?」
「ちゃんと水着着ろよ?」
「分かってるって!」
すでに一緒に入ることを確信しているのか、真美は満面の笑みを浮かべて奥の部屋へと入っていった。
「なぁ、俺も一緒に・・・・・・」
「真美が入るならな」
「よっしゃ!」
歩も一緒に入ることを確信しているかのように満面の笑みを浮かべてガッツポーズをした。
それから、数分後、白色の水着を着た姫香と先ほどの紫色の水着を着た真美が奥の部屋から出てきた。
その姫香のあまりの美しさに思わず見惚れてしまう。
見惚れていると姫香が俺の元に駆け寄ってきて腕に抱きついた。
胸の感触が直に腕に伝わってくる。
少し緊張気味に「か、翔君?」と俺のことを見上げてきた姫香はおそらく水着の感想を待っているのだろう。
「よく似合ってるな」
「ありがとうございます!」
「真美たちも一緒でいいのか?」
「真美さんの圧に負けてしまって・・・・・・」
「そっか。まぁ、また来ればいいだろ。今度は二人で」
「ですね。また、来ましょう!ここ以外にのところにも行きましょう!」
四人で露天風呂に浸かる。
初めての温泉はなんだか騒がしい感じになってしまったが、まぁこれはこれでいい思い出になるからいいかと、俺はこの時間を噛み締めていた。
☆☆☆
【あとがき】
トランプって何歳になっても盛り上がるんよな〜笑
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