6月19日(土) 13:00~

「うまっ!!!」


 氷室さんが作った鮭のマヨネーズ焼きを一口食べて、俺は歓喜の声を上げた。

 美味しすぎる……。

 やばい、泣きそう……。

 お母さんの作る鮭のマヨネーズ焼きとは、さすがに味が違うが、氷室さんの鮭のマヨネーズ焼きも俺の好きな味だった。

 これ、食べ終えたころに俺、泣いてるんじゃないか……。


「めっちゃ美味しいな!」

「ふふ、ありがとうございます。王野君のお口に合ったようでよかったです」

「それはもう、合いまくり!めっちゃ好きな味だ」

「嬉しい」


 氷室さんは頬を少し赤くして、照れくさそうにそう言った。


「・・・・・・可愛い」


 その顔があまりにも可愛くて、思わず呟いてしまった。

 すると、氷室さんは耳まで真っ赤にして下を向いてしまった。


「不意打ちは・・・・・・ずるいってば・・・・・・」

「し、仕方ないだろ・・・・・・」


 無意識だったんだから・・・・・・。

 

「と、とりあえず、食べるか?冷めたらもったいないし」

「そ、そうですね」


 お互い恥ずかしさから、ぎこちなく言葉を交わし、鮭のマヨネーズ焼きを口に運んだ。

 こんな調子でこの後、大丈夫なのだろうか・・・・・・。

 てか、本当に美味しいな・・・・・・。

 2口目を口に運んだら箸が止まらなくなって、あっという間に完食してしまった。

 

「ごちそうさまでした。本当に美味しかった。ありがとう」

「どういたしまして」


 久しぶりに好物が食べれて、俺の胸は幸せいっぱいに満たされて上の空だった。


「また、食べたいな・・・・・・」

「何度だって食べさせてあげますよ?私と付き合ったら」

「そうだなー」

「えっ!?」

「え・・・・・・」


 今、氷室さんは何と言った?

 そして、俺は何と答えた・・・・・・。

 てか、氷室さんの方が不意打ちすぎだろ!?

 氷室さんってたまに大胆な行動や発言をするよな。

 その氷室さんが慌てたように言う。

 

「そ、そろそろ、勉強再開しましょうか!?」

「そ、そうだな。お皿は俺が洗ってくるから、氷室さんは勉強してていいよ」

「じゃ、じゃあ、よろしくお願いします」

「あぁ」


 俺は2人分のお皿を持ってキッチンに向かった。

 キッチンに立って俺は気持ちを整えるために大きく深呼吸をした。

 

「本当に不意打ちすぎ・・・・・・」


 俺は顔を真っ赤にしながら、お皿を洗った。

 ただ無心で何も考えないように。

 お皿を洗い終わった頃には気持ちは落ち着いていて、俺はソファーの前のサイドテーブルで勉強をしていた氷室さんの隣に戻った。


☆☆☆


次回更新6/30(水)9時!


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