6月19日(土) 10:00〜『氷室さんと勉強会』
今日は氷室さんと勉強会をすることなっていた。
それも氷室さんの家で……。
なんでも、一昨日に俺の家に来たから、氷室さんの家でということだった。
準備を済ませて、少し早めに家を出て、コンビニでケーキを買っていくことにした。
今日は一昨日のお礼も兼ねてるからな。
俺はイチゴのショートケーキとモンブランの2種類を買って氷室さんの家に向かった。
昔と変わっていなければ、氷室さんはモンブランが好きなはずだ。一回だけ「ひろくん」とケーキを食べた記憶があるが、その時、たしかモンブランを食べてすごく喜んでいたのを覚えている。
家の前に到着し、呼び鈴鳴らして氷室さんが出てくるのを待った。
数分もしないうちに氷室さんはやってきた。
「いらっしゃい」
出迎えてくれた氷室さんは、両肩の出た黒のオフショルダーにピンク色のロングスカートという服装だった。
真っ白で綺麗な鎖骨が眩しすぎる……。
「どうかしましたか?」
「い、いや。はい、これ買ってきた」
俺は氷室さんにコンビニで買ってきたケーキを手渡した。
「ケーキですか!?ありがとうございます!」
「モンブラン。好きだったよな?」
「え!?覚えててくれたんですか!」
「まぁな」
「嬉しいです!」
氷室さんは眩いばかりの笑顔を俺に向けた。
よかった。今もまだモンブランを好きなようだ。買ってきた甲斐があったな。
「さ、入ってください!このケーキは冷蔵庫に入れておきますね。3時のおやつの時にでも食べましょう!」
「そうだな」
氷室さんの後に続いて家の中に入った。
そのまま、氷室さんについて行ってリビングに通された。
相変わらず、綺麗に片付いた部屋だな。
氷室さんの家に訪れるのはこれで2回目だが、前回とほとんど変わっていないシンプルに整理整頓された部屋だった。
「相変わらず、綺麗な部屋だな」
「そうですか?ありがとうございます」
「前回も思ったけど、綺麗に整理されてるな」
「なんだか、恥ずかしいですね」
氷室さんは頬を赤くして白いソファーに座った。
そこはあの日、氷室さんを膝枕した場所だった。
そう思って、座るのをためらっていると、氷室さんに不思議な顔で見られた。
「座らないのですか?」
「座らないという選択肢は?」
「もちろん、ありませんよ?むしろ、どこに座るんですか?」
「ソファーの前とか……」
「なんですかそれ」
氷室さんはクスクスとおかしそうに笑った。
「ソファーに座るのも、ソファーの前に座るのも変わらないでしょうに」
「じゃあ、ソファーの前でいいか?」
「いいですよ。その代わり、何されても文句言わないでくださいね?」
「え?」
一体俺は何をされるんだ?
氷室さんはいたずらな笑みを浮かべていた。
とりあえず、少し怖かったが俺はソファーの前に座った。
「結局、そっちなんですね」
「で、そんなことはいいから、今日は何をするんだ?」
「そうですね~。とりあえず、こうします!」
そう言って、氷室さんは俺の首に腕を回して抱きしめてきた。
その拍子にふわっと、シャンプーのいい匂いが……。
て、そうじゃないだろ!?
え!?何この状況!?
「……氷室さん?何をしてるんですかね?」
「何って、抱きしめてるのですよ?」
「いや、それは分かるんだが……なんで?」
「それは王野君がソファーに座らないからですよ。何されても文句は言わないって約束しましたよね?」
いやいや、その行動は予想外なんだが!?
てか、氷室さんの顔が近い……。
横を向いたら、すぐそこに氷室さんの顔が……。そう思っていたら、不意に氷室さんの腕が首から離れた。
「さて、からかうのはこの辺にしておいて、勉強しましょうか」
「俺は最初からそのつもりだったんだが?」
「ごめんなさい」
氷室さんは丁寧に頭を下げた。
それをされてしまっては怒ることはできないだろ。
まったく、可愛いってのはずるいな。
そして、惚れているってのは、こういう時に厄介だよな。
「最初は数学から教えてもらってもいですか?」
「あぁ、分かった」
氷室さんは俺の隣に座り直した。
ソファーの前に置いてあるガラスのサイドテーブルの上に数学の教材を広げ勉強を開始した。
それからは真面目にお昼過ぎまで黙々と勉強をした。
☆☆☆
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