第198話 大晦日&新年編part5 二人で過ごす新年①
1日しっかりと休んだおかげか、翌朝には姫香は元気になっていた。
「昨日は1日ご迷惑をおかけしました」
「元気になってよかったな」
「はい。初詣にもなんとか行けそうです」
「本当に行くのか?別に無理して今日行かなくてもいいんだぞ」
「大丈夫ですよ。体調はしっかりと治りましたから
翔君の手料理のおかげで!」
「俺の手料理はそんな万能薬じゃないって。まぁ、姫香がそこまで言うなら行くか。初詣」
「はいっ!」
ということで俺たちはお昼から初詣に行くことになった。
姫香は着物を着るらしく、一度家に帰った。
数時間後。
待ち合わせ場所の神社に向かう。
どうやら俺の方が先に到着したらしい。
待ち合わせ場所に姫香の姿はまだなかった。
「さすがに人が多いな」
新年ということもあり、神社にはかなりの行列ができていた。
賽銭箱に到着するのにどのくらい時間がかかるのだろうかと思っていると、「お待たせしました」と声をかけられた。
声のした方を向くと、着物姿の姫香がいた。
真っ赤な薔薇の刺繍が散りばめられた白い着物は姫香によく似合っていた。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
そう言って丁寧に頭を下げる姫香に俺も「よろしく」と頭を下げた。
「よく似合ってるな。着物」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「じゃあ、並ぶか」
「ですね」
鳥居をくぐり、行列の最後尾に並んだ。
「半年って早いですね」
「そうだな」
「翔君にあの日助けてもらってからの日々はあっという間に過ぎ去っていったような気がします」
「こうして気付かぬうちに歳をとっていくんだろつな」
「真美さんも言ってましたもんね。楽しい時間はあっという間に過ぎるって」
「姫香はこの半年楽しかったか?」
「もちろんです!青春ぽいこともたくさんできましたし、楽しかったですよ!」
「そっか。ならよかった」
「翔君は私と一緒にいて楽しかったですか?」
「楽しかったよ。姫香と一緒にいれて」
そう言って俺は姫香に笑顔を向けた。
そして、手を握り、自分のコートのポケットに入れた。
ひんやりと冷え切った手を温めるように。
☆☆☆
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