第199話 大晦日&新年編part6 二人で過ごす新年②

 行列に並ぶこと一時間。 

 ようやく賽銭箱の前に到着した。

 行列に並ぶことは今では苦ではないが、この寒さの中並ぶのは辛かった。

 お互いに財布の中から五円玉を取り出して賽銭箱の中に投げ入れた。

 二回お辞儀をして、二回手を叩き、最後にもう一度手をお辞儀をした。

 今年一年、特にこの半年のご縁に感謝するように目を閉じる。

(姫香と再会させていただきありがとうございました。これからもこの縁が続くように、どうか見守っていてください)

 心の中でそう呟き、目を開ける。

 隣の姫香はまだ目を閉じていて、真剣な表情をしていた。

 やがて、目を開けこちらを向くとニコッと微笑む。


「翔君は何をお願いしましたか?」

「この先も姫香と一緒にいれますようにってお願いしたよ」

「ふふっ、一緒ですね」


 そう言って姫香は俺の手を握ってきた。


「この手は絶対に離しませんから」

「もちろん、俺だって離す気はないけど?」


 俺はニヤッと笑って姫香の手を強く握り返した。


「それは嬉しいですね!さて、せっかくですからおみくじでも引いて帰りましょうか!」

「そうだな」


 手を繋いだままおみくじ売り場に向かう。

 ここ何年かは初詣に行くことはあってもおみくじは引かなくなっていたから、おみくじの種類の豊富さに驚いた。


「今はこんなにおみくじの種類があるんだな」

「翔君はおみくじ引かない派ですか?」

「ここ数年は引いてなかったな」

「おみくじを信じないタイプなんですね」

「まぁ、そうだな」

「じゃあ、占いとかも信じないタイプですか?」

「あんまり好き好んで見ないな」

「翔君はそういうのに頼らなくても己が道を行くような人ですからね」


 姫香がクスクスと笑う。


「姫香は信じるタイプなのか?」

「そうですね〜。信じますかね。このおみくじのおかかげで翔君と再会できましたし」



 そう言って姫香は財布の中から一枚のおみくじを取り出した。


「そのおみくじ、去年この神社で引いたものなんです。それの『待ち人』のところを読んでみてください」


 そう言われ俺はそのおみくじの『待ち人』のところに目をやった。

 そこにはこう書かれていた。


「困っている時に待ち人現る。ね」

「私が困っていたあの時、本当に待ち人が来たんです。何年も前からずっと待っていた翔君が。だから、私は信じますかね」

 

 姫香がおみくじを引いた。

 そのおみくじをゆっくりと開いて、内容を読むと笑顔で「ほらね」と俺に向けてきた。

 姫香の引いたおみくじは『大吉』で『恋愛』のところには『その恋をじっくりと育てなさい。やがて綺麗な花が咲くでしょう』と書いてあった。


☆☆☆


皆さんはおみくじ引く派ですか?

私は引く派です!笑

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