第174話 文化祭編part6 文化祭当日③
文化祭が始まってすでに二時間が経過していた。
俺と姫香はその間ずっとコーヒーを淹れ続けた。
さすがにこのペースでずっと行くのは大変なので、十二時から十三時のあいだはお店自体を閉めることになった。
他のクラスメイトもずっと動きっぱなしだったので疲れているようだった。
「氷室さんパワー凄いわ~」
「王野君を見に来る女子生徒も多かったよね~」
「まさかこんなに忙しいとは……」
「疲れた~」
壁にもたれかかってぐったりとしているクラスメイト達。
そんなクラスメイトにも姫香はコーヒーを淹れてあげているようだった。
「皆さんお疲れさまでした。本当に忙しかったですね。コーヒーでも飲んでしっかりと休憩してくださいね」
クラスメイト一人一人に手渡しでコーヒーを渡していく姫香。
「ありがとう。氷室さん」
姫香からコーヒーを受け取った生徒は皆が笑顔でそう言っていた。
さすが『天使様』。その笑顔は人を癒す効果があるようだ。
だけど……。
「姫香。姫香もちゃんと休めよ。疲れてるだろ」
「私は大丈夫ですよ。私のせいで皆さんがこんなに疲れていらっしゃるので、私が疲れた顔を見せるわけにはいきません」
「なら、半分は俺のせいでもあるな」
俺がそう言うと姫香は「え?」と顔を上げた。
「歩が言うには、この忙しさは俺のせいでもあるって言ってたからな。姫香はコーヒーを作ることで気が付いてなかったかもしれないけどな。だから、姫香一人のせいじゃないってことだ」
そう言って俺は姫香の頭をポンポンと叩いた。
「さて、それじゃあ、俺たちも文化祭楽しむか?」
「……はい!」
姫香は少し照れくさそうに頷いた。
そんな姫香と手を繋いで俺たちは教室を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます