第208話 新生活編part8 四人で花見②

 お花見会場に到着した俺たちは車から荷物を下ろして、座る場所を探し始めた。


「さすがにたくさん人がいるわね〜」


 お花見シーズンということもあって、どこを見渡しても人だらけだった。


「座るところありますかね?」

「探せばあるんじゃないか」

「そうね〜。これだけ広いとどこかには座れそうね」

「お、あそことか座れそうじゃね?」


 歩が指さした先の桜の木の下に空いているスペースがあった。

 

「本当ですね。あそこにしましょうか」

「だね!急ごう!」


 真美が姫香の手を引いて、その場所に走っていった。

 

「なんかいいなこういうの」

「どうしたんだ急に?」

「なんかさ、ふと思ってな。今更だけど」


 そう言ってニッと笑った歩。

 俺もふっと笑う。


「本当に今更だな」

「何気ない瞬間にいいなって思うことないか?」

「その気持ちは分からなくはないな」

「だろ。これからもこの関係が続くといいな」

「何言ってんだよ。続けばいいじゃなくて、続けるんだろ?」

「それもそうだな!さ、俺たちも行こうぜ!真美が手招きしてる」


 スペースを確保した真美が俺たちに向かって「早く来なよ!」と手招きをしていた。

 俺たちは歩くスピードをあげて2人が待つ桜の木下に向かった。


「見事な桜だな」

「ですね。いい場所を確保できましたね」

 

 俺たちの頭上にはそれはそれは見事な満開の桜が咲いていた。

 その満開の桜の木の下にレジャーシートを敷いて、俺たちはお昼ご飯の準備を始めた。


「少し早いですけど、お昼にしましょうか」


 姫香が朝早くに起きて作っていた弁当を手提げバックの中から取り出す。

 弁当の蓋を開けると、中にはおにぎりや色とりどりのおかずが綺麗に並んでいた。


「よかったらお二人も食べてください」

「あ、私もサンドイッチを作ってきたよ!」

 

 そう言って真美もそばに置いていた手提げカバンから弁当箱を散り出して蓋を開けた。

 数種類のサンドイッチが美味しそうに並んでいた。


「真美さんのサンドイッチも美味しそうですね」

「姫香ちゃんの料理も美味しそうだね!遠慮せずにたくさん食べてね!」

「ありがとうございます。私のもたくさん食べてくださいね」


 俺は4人分の紙皿と紙コップを取り出して、みんなに手渡した。


「サンキュー。翔!」

「ありがとう翔!」

「ありがとうございます。翔君!」


 それぞれが食べたいものをお皿に取り、紙コップで乾杯をすると、少し早めのお昼ご飯を食べ始めた。


☆☆☆

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