番外編
第233話 番外編part1 姫香と初めてのお酒①
※番外編は、一応時系列順に書いていく予定ですがバラバラになる可能性があります。
あらかじめご了承ください。
二十歳からの話になる予定です。
では、本編をどうぞ!
☆☆☆
6月29日
本日は四人の中で一番最後に二十歳を迎えた真美の誕生日だった。
「いや~。私もとうとう二十歳か~!」
「これで皆さん二十歳になりましたね」
「ということは、あれの出番だね!」
真美が言っているあれというのはあれのことだろう。
俺に散々飲ませたがっていた例の飲み物だ。
「今日ばかりは翔も飲むわよね?」
「散々言ってるだろ。飲まないって」
「え~なんでよ~!姫香ちゃんだって翔と一緒にお酒飲みたいよね?」
「そうですね~。翔君と一緒にお酒飲みたいですね」
姫香を頼るのはズルい。
俺が姫香の頼みを断れないのを真美のやつはもちろん知っている。
知ったうえで、それを言っているのだから質が悪いというものだ。
まぁ、それは姫香もなんだけどな。
「でも、強要するわけにはいきませんからね。最後は翔君が決めてください」
「それ、俺にとっては飲めって言ってるのと同じだからな?」
「ふふ、バレましたか」
俺をからかえて満足気な姫香はくすくすと笑った。
「分かったよ。その代わり一杯だけだからな」
「えっ!?翔、本当に付き合ってくれるの?」
「まぁ、今日くらいは……」
「ありがとう!」
たかがお酒を一緒に飲むだけだというのに、真美はこれでもかと喜びをその顔に表して抱き着いてきた。
「お、おい……」
「お酒たくさん買っといてよかったー!」
「一杯しか飲まないって言わなかったか?」
「分かってるって!一缶しか飲まないんでしょ?」
「一缶じゃなくて一杯だ。コップ一杯だ」
「じゃあ、大きなコップにしないとね!」
何を言っても自分のいいように解釈をする真美のことを無理やり引き剥がすと、俺はキッチンで料理を作っている歩の元へと逃げ込んだ。
「あのバカを何とかしてくれよ……」
「あはは、まぁまぁ、今日くらいは許してやってよ。二十歳の誕生日で相当テンション上げってるみたいだからさ」
「いつもあんな感じな気がするんだが?」
「それは否定できないな!」
真美があんな感じなのはいつものことだし、中学生からの付き合いなのでもう慣れているからいちいち怒ったりはしない。
それになんだかんだ真美と一緒にいるのを楽しんでいる自分もいるしな。
「で、料理の方は順調か?」
「順調も順調だな!翔に去年教えてもらってから俺もちょくちょく料理作るようになったからな!」
「そうか、それはよかった。見たところ俺が手伝うことはななさそうだな」
「ああ、ここは任せてくれ!その代わりに真美の相手を頼む」
「そっちの方が重労働なんだが?」
「それは、まぁ頑張れとしか言えないな」
苦笑いを浮かべた歩に、俺も苦笑いを返すと、大怪獣のいるリビングへと戻った。
☆☆☆
真美と姫香と一緒にトランプをして待つこと一時間。
続々とテーブルの上に料理が並べられていった。
「さ、みんな出来たよー!」
「わぁ~!いい匂い!お腹空いた~!」
歩の料理に釣られるように立ち上がった真美はそのまま椅子に座った。
「私たちも行きましょうか」
「そうだな」
俺と姫香も真美の後に続き、真美の対面の席に隣同士で座る。
やがてすべての料理と例の物をテーブルに置いた歩も真美の隣に座った。
「さて、今日は二人とも私の誕生日のために集めってくれてありがとう!」
そう言ってしきり始めた真美はさっそくお酒の缶を右手に持っていた。
なんなら、姫香も歩もその手にお酒の缶を持っていて、飲む気満々のようだった。
仕方なく俺も飲みやすそうなフルーツのお酒の缶のプルタブを開けて、歩がちゃんと用意してくれたコップに注いだ。
「歩も美味しそう料理を作ってくれてありがとう!」
「おう!」
「今日はたくさん食べてたくさん飲んで楽しもう~!乾杯~!」
「「「乾杯ー!」」」
テーブルの中心で三つのお酒の缶とコップが歓喜の音を鳴らした。
そして、各々緊張しつつお酒に口を付けた。
「こ、これがお酒の味か~!美味しい!」
「なんだか、果物の味しかしませんけど、美味しいですね。」
「今日買ってきたのは、お酒感少な目なやつだからね~。でも、美味しいかも」
「まず……」
四者四様の感想を述べる俺達。
「ねぇ、この中に一人だけ、マズいって言った人がいるんだけど」
「そうだなー。誰だろうな?」
「誰でしょうね」
「ん?誰だ?」。なら、無理に飲まないでもいいですからね?」
わざととぼけてみせると三人から「翔でしょ!」と総ツッコミを食らった。
「しょうがないだろ。美味しくないものは美味しくないんだから」
「まぁ、個人の感想だからいいんだけどね」
「そんなに美味しくないですか?」
「好んで飲みたいとは思わないな」
「そうですか。なら、無理に飲まなくてもいいですからね」
「そうね~。最初の乾杯に付き合ってくれただけで満足だし、無理しなくていいわよ」
「そうだな。無理はするなよ」
あれだけ俺にお酒を飲ませたがっていたのに、俺がお酒が苦手だと分かった瞬間にちゃんと気を遣ってくれる三人。
そういったところはちゃんとわきまえているからこの二人と一緒にいても楽しいと思うんだろうな。
「悪いな。つきあってやれなくて」
「大丈夫よー。その代わり翔んは重役を任せるから!」
「重役って?」
「もちろん、ベロベロに酔っぱらった私たちの介抱に決まってるじゃない!」
「そうだな。翔が素面でいてくれると思うと安心して酔えそうだな!」
「ですね。酔ったところを翔君に見られるのは少し恥ずかしい気もしますが、翔君に介抱してもらえるなら酔うのもアリですね!」
「お前らなぁ、お酒はほどほどにしとけよ。後で、後悔するのは自分だからな?」
俺がそう言うと三人は「はーい」と声を元気よくそろえて言った。
本当に分かってるのだろうか、と思いつつ俺は三人が楽しそうにお酒を飲んでいる様子を見守ることにした。
☆☆☆
そして、二時間後……。
☆☆☆
次回姫香達のあんな姿が・・・・・・🤭
乞うご期待!笑
二十歳になった瞬間のお酒の味って覚えてますか?(笑)
私はあまり美味しくなかった記憶しかなくて今もお酒が苦手です(笑)
最近は全くと言っていいほど飲み会がなくなってしまいましたが、お酒が苦手な私はあの場の雰囲気は好きです(笑)
普段知れない参加者の一面が知れるから……(ニヤッ)
読者さんの中にはまだ未成年の人もいるかもしれないですね。
お酒はほどほどに、楽しく飲むのが一番ですよ(笑)
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