第182話 クリスマス編part4 二人で観る映画④

(姫香視点)


 翌朝、目を覚ますと私は翔君の膝の上で眠っていました。

 翔君はソファーに座って眠っています。

 きっと、私が起きないようにしてくれたんですね。

 

「どこまで優しいんですか。まったく」


 この様子だと私が仕事で疲れているのもバレてるんでしょうね。

 今日は学校も仕事も休み。

 私は翔君を起こさないように体をゆっくりと起こした。

 そして、ソファーに座り直して、翔君の頭を自分の膝の上に乗せた。


「ゆっくりと寝ててくださいね。私は翔君の寝顔を見て楽しみますから」


 翔君の頭をそっと撫でて、翔君が起きるまでその可愛らしい寝顔を堪能した。


☆☆☆  

(翔視点)


 頭の下に柔らかな感触を感じ俺は目を覚ました。

 目の前には大きな山が二つ、その間から姫香が顔を出していた。


「目を覚まされたんですね」

「姫香……」

「おはようございます」

「おはよう。えっと、この状況は……」

「見ての通りですよ」


 そう言って姫香は微笑んだ。

 見ての通りってことは……


「膝枕?」

「正解です」

「俺が姫香にしてたはずなんだが?」

「だから、私も翔君にしてあげました」


 体を起こそうにも、その幸せな感触に体は動かなかった。


「可愛らしい寝顔で寝てましたよ」

「見るなよ……」

「いいじゃないですか。いつも私の出演してるテレビを見てるんですから」

「それとこれは別だろ」

「そもそも寝顔くらい今更でしょうに。それに私の寝顔も見たんですから、私にだって翔君の寝顔を見る権利はあるはずです」

「それは……」


 正論を言われて言葉に詰まった。

 

「翔君。ありがとうございます」

「何のことだ?」

「いろいろです」


 そう言った姫香の微笑みがあまりにも眩しくて、俺は目を逸らし「そうか」と言った。


「ところで、今日はどうしましょうか?」

「俺はもう少し姫香の膝を堪能したいかも」


 俺がそう言うと、姫香は「もぅ、仕方ないですね」と嬉しそうに頬を緩めた。


「それなら後で私にも翔君の膝を堪能させてくださいね?」

「俺の膝でいいなら好きなだけ堪能してくれ」

「なら、そのお言葉に甘えて、好きなだけ堪能させてもらいます」


 このままずっと姫香の膝枕を堪能したかったが、お腹は減るので先にご飯を食べることにした。

 朝食を食べ終えた俺たちは互いに膝枕をしあい、幸せな午前中を過ごした。


☆☆☆

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