6月12日(土) 16:00〜

 体育館裏。

 仮面の選手とマネージャーは向き合って立っていた。2人の間には緊張の空気が漂っている。

 これから、仮面の選手はマネージャーに告白をする。


「姫乃さん。私が誰だか分かってますよね?」

「・・・・・・はい」

「だよな」

「顔は隠せても声は隠せないもんね」

「そうだな」

「仮面は外してくれないの?」

「そ、それは・・・・・・」


 仮面の選手には外せないわけがあった。

 それは、今の状態の顔を見られたくないから・・・・・・。

 仮面の選手は冷静を装っているが、その仮面の下にある顔は湯気が出そうなほど真っ赤に染まっている。


「無理だ」

「ふーん。照れてるんだ」

「はぁっ!?」


 しかし、幼馴染のマネージャーは全てお見通しだった。

 仮面の選手が顔を真っ赤してることも、これから、何を言おうとしてるのかも。

 

「で、私を呼び出した要件は?だいたい見当はつくけど・・・・・・」

「そうだな。たぶん姫乃さんの考えてることは当たってると思う」

「もう、じれたいな! 早く言いなさいよ!」


 マネージャーは顔を真っ赤にしてそう言った。

 仮面の選手は大きく息を吸い込んで、言う。

 

「俺は、姫乃さんのことが、好きだー!」

「まったく、遅いよ……バカ」


 マネージャーは仮面の選手の胸に顔をうずめた。


「はい!カットー!」


 ラストシーンの撮影が終わった。


「二人ともお疲れ~!最高だったよ~!」

 

 監督が俺の肩をバシバシと叩いてそう言った。

 

「痛いですってば」


 俺は仮面を外しながらそう言った。


「本当に俳優にしたいくらい上手だったわよ!もしかしたら、演技じゃないかもしれないけどね」

「え、演技ですからね!」

「まぁ、そういうことにしといてあげるわ!」

  

 監督はそう言い残すと、さっき撮った映像を確認しに行った。


「王野さん。お疲れ様でした」

「氷室さんもお疲れ」

「本当に、いい演技でしたよ」


 ほんのりと頬を赤くした氷室さんまでも俺のことを褒める。

 悪い気はしないが恥ずかしい・・・・・・。


「ありがと」

「あれ?もしかして、照れてるんですか?」

「て、照れてないから!さっきのセリフみたいなこ言うな!」

「うふふ、ほら私たちも行きましょうか?唯香さんが呼んでます」


 氷室さんが指さした先には唯香さんが手を振っていた。

 その唯香さんの元に2人で向かう。


「2人ともお疲れ様!今日はこれで終わりだから、送って行くわ!」

「唯香さんありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」


 着替えを済ませて、監督やその他スタッフさん達に挨拶をすると唯香さんの運転する車に乗った。


「どっちから、最初に送る?」

「王野さんからでいいですか?」

「うん」

「じゃあ、唯香さんお願いします」

「了解!それじゃあ、行くね。道案内よろしく

!」

「分かりました」


 車は学校を後にすると、俺の家に向かって走り出した。


☆☆☆

次回更新6/20(日)です!

9時と14時更新予定!

よろしくお願いします✨


ちなみに、明日は新作を投稿するかもです!笑

お楽しみに〜!

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