文化祭・体育祭編

第147話 体育祭編part1

 長らくお待たせしました。

 フォローを外さずに待っていた皆様、

 本当にありがとうございます。

 改良したいとこや付け加えたい話がありますが、とりあえずは完結まで突っ走ろうと思います!

 完結まで残り3章。最後までお楽しみいただけけると嬉しいです。

 

 ということで、体育祭・文化祭編スタートです✨

 引き続きお楽しみください。


☆☆☆

 10月某日。

 最近ではもうすっかりと日常になっているが、姫香が家にやってきていた。

 今は昼食を食べ終えて、ソファーでくつろいでいた。

 

「そろそろ体育祭ですね」

「そうだな」

「翔君の本気は見れるんですかね」

「ん?なんのことだ?」

「真美さんから聞いてますよ。中学生時代の翔君の伝説」

「あいつ。また俺の知らないところで、何言ってんだよ」


 真美が姫香にペラペラと話てる姿が目に浮かぶ。

 

「真美からどんな話を聞いてるか知らないけど、目立つことはしない」

「どうしてもですか?」

「どうしてもだ」

「私がこんなに頼んでもですか?」


 隣に座っている姫香の深紅の瞳が俺のことを上目遣いで見つめている。

 

「そんな目で見つめてきてもダメだ」


 俺がそう言うと姫香は「むぅ〜」と頬を膨らませた。


「どうしたら、翔君は本気を出してくれるんですか?」

「だから、出さない」

「私だって翔君が活躍するところ見たいです・・・・・・」


 そう言って姫香はソファーに置いてあるクッションに顔を埋める。

(日に日に可愛くなっていくなっ!可愛いがすぎる!)

 しかし、そんな可愛い行動をされたところで心が動いたりは・・・・・・いや、正直に言おう少しは動いた。


「私はただ翔君のかっこいい姿が見たいだけなのに・・・・・・」


 少しだけ動いた俺の心にさらに追い討ちをかけてくるような甘い言葉。


「あーもう!分かったよ。少しだけな。一種目だけ本気出すよ。だけど、それ以上はやらないからな」

「本当ですか!?それだけでも嬉しいです!翔君の活躍する姿が見れるならなんでもいいです!」


 結局、この可愛い俺の彼女には勝てない俺であった。

 姫香は嬉しそうに俺に抱きついてくると「楽しみにしてますね」と耳元で囁いてきた。


「もしかして、さっきの演技?」

「それはどうでしょ〜?」


 忘れてた・・・・・・姫香は女優なんだった。しかも、今をときめく高校生女優。12月には主演の映画も公開されるほどの女優。

 俺を演技で欺くことなんて赤子を捻るように簡単なことだろう。

 

「演技だったとしても翔君の活躍したところが見たいって言うのは本心ですからね?」

「演技だって認めたな」

「別にバレてもいいですからね」

 

 そう言って姫香はニコッと笑った。

 まあ、確かに演技だろうと関係ない。

 姫香のその演技に心が動いてしまったんだから。それに演技されたからといって騙されたなんて感覚はない。なぜなら、俺が姫香のことを大好きだし、信頼してるから。


「活躍を見せてくれるって言いましたからね?今更、やっぱり無しなんてのはダメですからね?」

「分かってるよ。ちなみにどの競技がいいんだ?」

「私が決めてもいいのですか?」

「まぁ、その競技に俺が出れるかわかんないけどな」

「そこは山崎さんに頼むので大丈夫です」

「そういえば、歩は体育委員か・・・・・・」

「そうです!なので、山崎さんに頼めばおそらくはどの競技でも大丈夫かと」

「で、どの競技?」

「やっぱり、体育祭の花形といったら百メートル走ですよね!なので、翔君には百メートル走に出てほしいです!」

「百メートル走か。了解」


 また目立つのを選んできたな。

 姫香の言う通り百メートル走は体育祭の花形だ。おそらく一番盛り上がるし、一番注目される。

 約束してしまったものは仕方ない。

 ちょっとだけ本気を出すか。姫香にカッコいいところを見せるのは、まあ悪い気はしないしな。 


「楽しみにしてますね!」

「俺も姫香の活躍を楽しみにしてるよ」

「私は活躍しませんよ」

「そんなことないだろ。俺は知ってるからな。姫香の足が速いこと。さぞかし百メートル走で活躍してくれるんだろうな〜」

 

 俺はニヤニヤと笑ってそう言った。


「翔君が意地悪です・・・・・・」

「お返しだ」

「そんなお返しはいりません!」

「でも、見せてくれるんだろ?姫香が活躍するところ」

「翔君が・・・・・・見たいって言うなら・・・・・・」


 さらにさっきのお返しにと俺は姫香の耳元で「見たいよ。姫香の活躍」と囁いてやった。


「もぅ・・・・・・そんなこと言われたら・・・・・・頑張るしかないじゃないですか」


 姫香は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに小さな声で呟いた。

 俺はそんな姫香の頭を優しく撫でて「楽しみにしてる」と呟いた。


☆☆☆

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