6月17日(木) 19:00〜
それから1時間後。
甘い匂いが鼻腔をくすぐって俺は目を覚ました。
ゆっくりと目を開けると、すぐそばに氷室さんの顔があった。
「あ・・・・・・」
お互い同時に驚き、俺は顔を逸らし、氷室さんは目を丸くした。
「もぅ〜。急に起きないでくださいよ!」
「そ、そんなこと言われても・・・・・・」
「ご飯、できてますけど、食べますか?」
俺は小さく頷いた。
「じゃあ、持ってきますね。ちょっと待っててください」
そういって、氷室さんは部屋から出ていった。
「はぁ〜。ビックリした・・・・・・」
目を開けると、そこには天使の顔だもんな。
心臓飛び出るかと思った・・・・・・。
それにしても、本当に戻ってきてくれたんだな。
もちろん、氷室さんが嘘をつくわけはないと思ってはいたけど、まさか本当に戻ってくるとは・・・・・・。
あれ?てことは、氷室さん、今日俺の家に泊まるってことだよな・・・・・・。
1時間前の電話でそんなようなことを言っていた気がする。
「大丈夫かな・・・・・・俺・・・・・・熱が下がらないような気がする・・・・・・」
『氷室熱』に侵されそうな気がした。
てか、もう徐々に侵されてるな……。
最近の氷室さん、積極的すぎるし……。
耐えれるのか、俺……。心臓のドキドキが鳴りやまない時がある。
そう思っていたら、扉がノックされ、氷室さんが入ってきた。
ドキッ!!
「ご飯できましたよ。胃に優しいものがいいということでしたので、うどんにしておきました。卵と油揚げとかまぼこトッピングです」
「お、おー、美味しそうだな」
昼間とは違って、俺は1人で体を起こすことができた。
「1人で起き上がれましたね」
「だから、子ども扱いするなって」
「あれ?誰でしたっけ?私に助けてもらったのは?」
「ぐっ……」
それを言われては言い返せない。
「でも、あれはノーカウントだ。体調が悪かったんだから仕方ないだろ」
「素直じゃないですね~」
そう言って氷室さんは楽しそうにクスクスと笑った。
くそっ!可愛いなっ!
氷室さんの笑顔は市販の薬よりもよっぽど良薬だった。なんだか、さっきまで感じていただるさが消えたような気がした。
「さて、うどん食べましょう。どうしますか?お昼のように私が食べさせてあげましょうか?」
「いい、1人で食べれるから……」
俺は顔を逸らしながらそう言った。
お昼はそんな余裕なかったが、普通に恥ずかしい……。
「照れなくてもいいのですよ?」
そんな俺の心を読んだかのように、氷室さんはいたずらな笑みを浮かべて言った。
「て、照れてないから、早くうどんをくれっ!」
「もぅ~。しょうがないですね」
そのいたずらな笑みを浮かべたままうどんを渡してきた。
「じゃあ、一緒に食べましょうか?」
氷室さんは当たり前のように俺のベッドに上がってきて、横に座った。
「え、隣で食べるのか?」
「そうですけど。ダメですか?」
「いや、普通ダメだろ。汚いぞ……」
「汚くなんてないですよ?」
あまりにもさらっと言うので、俺は隣で一緒にご飯を食べることを許可してしまった。
氷室さんの作ってくれた特製うどんは体に染みわたって心までしっかりと温めてくれた。
☆☆☆
次回更新6/27(日)14時!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます