『①4人でプール』
8月10日(火) 13:00~
その日は四人でプールに行くことになっていた。
駅で待ち合わせをして隣町のプールに行く予定だ。
今は姫香と一緒に駅に向かって歩いているところだった。
「翔君は泳げますか?」
「泳げるよ」
「そうなんですね」
「その様子だと姫香は泳ぎが苦手なのか?」
「ですね。あんまり得意ではないです」
「それは意外だな。姫香、運動神経いいから泳ぎもできると思ってた」
「泳ぎだけはどうしても苦手なのです。なので、もしも溺れそうになったら助けてくださいな」
「それは、もちろん。真っ先に助けるよ」
「ありがとうございます。それなら安心して泳げます」
「一応、浮き輪はつけような」
「そこまで子供ではありませんっ!」
姫香は頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。
そして、恥ずかしそうに呟いた。
「でも、一応使います……」
「そうしてくれ。溺れられたら俺が悲しいからな」
「善処します」
待ち合わせ場所の駅に到着した。
あの二人はまだ来ていないらしい。
「座って待つか?」
「そうですね」
今日の姫香の服装はシンプルな半袖シャツに短パンだった。
「今日はやけにシンプルな服装だな」
「嫌でしたか?」
「ううん。珍しいなと思っただけ」
「昼間ですし、皆さんに迷惑かけたくないと思ったので……」
なるほど。
姫香が着飾ればモデルの姫香になってしまうからな。
姫香なりに配慮したということだろう。
まぁ、もろバレなんだけどな。今日はいつもつけている眼鏡つけてないし。
俺は姫香の茶色の瞳を見つめた。
「そう思うなら、もう少し変装した方がよくないか?」
「それは、大丈夫です。今日はカラコンをつけてきましたから」
「その自信はどこから来るんだろうな。目の色が変わっても姫香は姫香だぞ?」
「え!?本当ですか!?私的にはかなり変わってると思うんですけど!?」
「まぁ、印象派だいぶ違うけどな。誰がどう見ても姫香なんだがな」
「それは大変です!?どうしましょう?」
「今更、どうしようもないだろ。それに、バレないようにするにはその髪色も変えないといけないだろうからな。だから、まぁ、あんまり気にするなよ。いざとなったら俺がいるし」
「ですね。何度も翔君には助けてもらってますからね。今日も期待してますね!」
姫香は茶色の瞳をキラキラと輝かせて俺のことを見上げてきた。
瞳の色が変わっていても、そこにいるのはやっぱり姫香だった。
☆☆☆
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