クラスの有名モデルの氷姫をナンパから助けたら、好きオーラが半端ない!?

夜空 星龍

6月1日

6月1日(火)


 放課後。 

 夕飯の材料を買って家に帰っている途中だった。

 うーん。これはどうしたものか・・・・・・。

 今、俺の中には二つの選択肢があった。

 

 1.見て見ぬふりをして素通りする


 2.回り道をして家を目指す


 まぁ、俺の中での選択肢としては妥当なとこだな。あの程度の人数ならなんてことないが、面倒ごとはごめんだ。


「なぁ、いいだろ。少し一緒に遊ぶだけだって」

「そうだぜ。どうせ、暇なんだろ。こんなところ一人で歩いてるくらいだから」

「・・・・・・」

「何も言わないってことは肯定ってことでいいよな?」

「いいんじゃね。てか、逃さねぇけどな。こんな上物」


 男三人に女一人。

 どうみてもこれはあれだよな・・・・・・。

 ナンパ・・・・・・。

 こんな田舎でもするやついるんだな。てっきり、都会の風物詩かと思ってたぞ。


 それにしても、凄く綺麗な人だな。男どもがナンパするのも頷ける。

 腰のあたりまで伸びた純白の髪。眼鏡の奥に輝く深紅の瞳。その瞳を縁取っている髪の色と同じ純白の睫毛。ふっくらとした桜色の唇。可愛らしい鼻。それら全ての顔のパーツが黄金比で配置されていた。


 世界の美しい顔100人に選出されてもおかしくはない、と思うほど綺麗で整った顔だった。

 まぁ、そんな顔も今は歪んでいるんだけど・・・・・・。

 あぁ、そんな顔してたらせっかくの美しい顔が台無しだぞ。

 そうさせている原因はもちろんこの三人なわけで・・・・・・。


「はぁ〜」


 俺はもう一度ため息をついた。

 あまり気乗りはしなかったが、彼女の困り果てた顔を見て気が変わった。

 仕方ない。もう一つ選択肢を増やすか。


3.目の前で困っている女性を助ける。ただし、彼らに顔を見られずにだ。


 となると、あれしかないよな。

 幸にも彼女の履いている靴はスニーカーだ。計画を実行しても何の支障も出ないだろう。ただ、彼女はロングスカートを履いているから、少し大変かもしれないがそこは彼女に頑張ってもらうとするか。


 俺は帽子を目深に被り直して、彼らの不意をつくために一般人を装って、一度彼らの後ろを素通りした。


 この選択が正しいのかどうかは分からない。なぜなら、結果は何かを選択して行動した後でしか分からないからだ。もしかしたら、俺のこの選択は彼女にとって迷惑かもしれない。それもまた行動を起こした後でしか分からないことだった。


「そろそろティータイムに行こうぜ。まぁ、行くのは小洒落たカフェじゃねぇけどな」


 三人のうち真ん中にいる男がそう言って、彼女の腕を掴もうと手を伸ばした。

 今だな。 

 俺は、それを見計らって、踵を返し、彼女の手を男より先に掴んだ。


「走って」


 彼女は一瞬、驚いた表情になったが、すぐに理解したのか俺のいうことを素直に聞いて頷いた。

 思わぬ乱入者に三人はしばらくの間、固まっていた。

 俺たちはその間に走って逃げた。意外にも彼女は俺の半分の力の走りについてきた。

 へぇー。意外と脚力と体力があるんだな。

 とりあえずここまでくれば大丈夫だろう。

 逃げ込んだ先は俺の家の近くにある公園だった。

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