第235話 番外編part3 姫香とカラオケ

 今日は姫香とカラオケに来ていた。

 

「カラオケ久しぶりに来ましたね!」

「そうだな。去年ぶりか?」

「ですね。二人で来るのは初めてですけどね」


 去年、あの二人と一緒に卒業式の日にカラオケで大はしゃぎをしたのがまだ記憶に新しい。

 

「さて、早速歌いますか!」


 そう言って姫香はパットを操作して、あるユニットの曲を入れた。

 それは、先日ライブに行って、とても感動したあ

の二人の曲だった。


「翔君はSINさんの方を歌ってください。私はREIさんの方を歌うので。もちろん、歌は覚えてますよね?」

「覚えてるよ。了解」


 姫香からマイクを受け取る。

 最初の歌い出しはREIからなので、姫香からだ。

 相変わらず、歌手顔負けの透明感のある美しい声で歌い出しを歌う姫香。

 それに続いて俺がSINのパートを歌う。

 そんな感じで互いのパートを歌っていく。

 

「やっぱりいい曲ですね」


 一曲歌い終わって満足気な姫香。

 

「姫香の声は相変わらず綺麗だな。思わず聞き惚れてしまうよ」

「ふふ、ありがとうございます。翔君の歌声もかっこいいですよ」

「ありがと」


 なんてお互いの歌声を褒め合いながら姫香が二曲目を入れる。

 二曲目はラブソングで姫香が一人で歌った。

 歌詞に「好き」が出てくるたびに俺のことを見て微笑んでくるので、俺は終始ドキドキだった。

 

「好きのフレーズが出てくるたびに俺のこと見るのやめてくれ」

「なんでですか?いいじゃないですか!」

「心臓がもたないんだよ!」

「じゃあ、もっと翔君のことを見て歌いましょうかね!」


 姫香が悪戯っ子な笑みを浮かべて俺に向かって微笑んだ瞬間に俺が入れた曲が始まった。

 俺が歌っている最中、姫香は手拍子をしたり、ワンフレーズをたまに歌ったりと盛り上げてくれた。


「やっぱり翔君の歌声は素敵ですね」


 それからは姫香が何曲も歌った。

 完全に独壇場で、姫香のライブステージだった。

 俺は姫香の歌声に酔いしれていた。

 

「いいライブだったよ」


 そんな姫香に最大級の拍手を送る。

 なんなら、俺は涙を流していた。


「感動しすぎですよ」

「そりゃあ、感動するだろ。姫香の歌声独り占めなんだぞ。最高かよ」

「ふふ。ありがとうございます。翔君のためなら、いつでも歌いますよ?」

「贅沢だな」


 最後に二人でデュエットをして、俺たちはカラオケ屋を後にした。

 カラオケ屋を後にした俺たちはカフェに寄った。

 今日のもう一つの目当て。

 今日からここのカフェで期間限定で『SIN&REI』とコラボを開催していた。


「人いますね〜」

「さすがの人気だな」


 その人気が伺えるほどの行列。

 俺たちは最後尾に並んで、カフェの中に入れたのは一時間後だった。


「見てください!クジがあるみたいですよ!」


 メニューを見た姫香は大はしゃぎ。

 その顔は子供のようだった。


「このパフェは美味しそうです!こっちのパンケーキも捨てがたいですね〜!」


 そんな姫香のことを見ているだけでお腹いっぱいになりそうだった。


「翔君はパンケーキを頼んでもらってもいいですか?」

「もちろん」


 俺が姫香の食べたいものに合わせるということを姫香は把握済みなので「頼んでもいいですか?」じゃなくて、「頼んでもらってもいいですか?」と言うようになった。

 ということで、姫香はコラボのパフェとパンケーキ。それからクジを三回注文した。

 

「ではクジしてきますね」

「ああ、行ってらっしゃい」


 クジはレジのとこでやるらしく、姫香はレジに向かって行った。

 姫香がクジを引いているその様子を眺める。

(あ、あの反応はいいのを引いたな)

 嬉しそうに飛び跳ねている姫香の後ろ姿を見てそう思った。

 そんな嬉しそうな姫香が席に戻ってきた。


「翔君!やりました!A賞を引いてしまいました!」


 そう言って姫香はA賞のポスターを俺に開いて見せた。

 そのポスターは『SIN&REI』がアイドルポーズをしているやつだった。

 

「よかったな」

「部屋に貼ってもいいですか?」

「もちろんいいよ」

「ありがとうございます!」


 ちなみに残りのクジはどっちもキーホルダーだったらしかった。

 パンケーキとパフェが運ばれてきた。

 どちらも二人をイメージして作られていて華やかな感じだった。

 もちろん、味も美味しかった。


「ふぅ、大満足です!」

「結構食べたな」

「ポスターも当てれて、美味しいスイーツも食べれて、歌も歌えて楽しい一日でした!」

「だな。楽しかったな」

「最近は何かと忙しかったので、いい息抜きになりました」

「試験があったもんな」

「ですね〜。でも、試験も終わって夏休みに入りますから。これからしばらくは楽しい日々が戻ってきそうです!」

「今年もあいつらと行く予定してるもんな。海とプール」

「はい!楽しみです!」


 カフェを後にした俺たちは夕飯の買い物をして、自宅へと帰った。

 家に着いてすぐ姫香はリビングに『SIN&REI』のポスターを貼っていた。


☆☆☆

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