6月12日(土) 10:30〜
氷室さんの後に続いて、その高校の校門を通る。そして、そのまま、氷室さんの後に続いて歩く。氷室さんが向かった先は校庭だった。
「あ、来た来た!姫香ちゃん〜!こっち〜!」
少し離れたところから、こっちに向かって手を振っている元気な女性がいる。
「あの人が私のマネージャーさん。唯香さんっていうの」
「へぇー」
その唯香さんの近くにはバスが停まっていて、大勢の大人がたくさんいた。
凄いな・・・・・・。
こんなにたくさんの大人に囲まれて、氷室さんは仕事をしてるのか。そりゃあ、大人っぽく見えるわけだ。
「姫香ちゃん!待ってたよー」
「おはようございます。唯香さん」
「おはよう!」
近くで見ると唯香さんは綺麗な人だった。
きっちりと白色のスーツを着こなしていて、漆黒の黒髪を後ろで1本に結んでいる。笑顔がとてもよく似合いそうな感じのいい人だった。
そんな唯香さんが俺のことをチラッと見た。
「あ!もしかして君が、姫香ちゃんがよく話してる・・・・・・」
「ちょっと!?唯香さん!?それは、オフレコでお願いします!」
「いいじゃない〜。言ったって減るようなもんじゃないし!」
「減りますから!主に私の寿命が減りますから!」
そんな2人のやりとりを俺は安心した。
もしかしたら、マネージャーが怖くて緊張しているのかと思ったけど、どうやら違ったみたいだ。
それにしても、まるで姉妹みたいだな・・・・・・。
そう思って2人の様子を眺めていたら、唯香さんと目が合った。
「ごめんね〜。彼氏君!私たちいつもこんな感じなの〜」
「唯香さんはちょっと黙っててください!」
「え〜。いいじゃない。せっかく、姫香ちゃんの彼氏君が遊びに来てくれたんだから!」
「王野さんは、まだ、私の、か、彼氏じゃないんです!」
「え!?そうだったの!?それは、ごめんね。姫香ちゃん。てっきり、私は・・・・・・」
「もう、いいです!唯香さん、嫌い!」
そう言って、顔を真っ赤にした氷室さんはバスの中に逃げ込むように入っていってしまった。
「いいんですか?追わなくて?」
「うん。大丈夫、かな。きっとすぐ戻ってくるから。さて、自己紹介をしましょうか。彼氏君・・・・・・じゃないのよね。まだ」
さっきから、その、まだ、っていうのが気になるんですけど・・・・・・。
氷室さんも言ってたし・・・・・・。
そんな、俺の気持ちをよそに、唯香さんが自己紹介を始めだした。
「私からでいいよね?」
「どうぞ」
「一応、聞いてるかもしれないけど、私は姫香ちゃんのマネージャーやってます。
唯香さんは右手を差し出して握手を求めてきた。
「氷室さんの友達の王野翔です。よろしくお願いします」
俺は唯香さんの差し出してきた手を握った。
「で、王野君は姫香ちゃんからどこまで説明受けてる?」
「一応、大事な撮影とだけ・・・・・・」
「なるほど、なるほど。なんの、シーンの撮影かは言ってないんだね」
「どういうことですか?」
「まぁいっか」
えーーー。
説明してくれないのかよ!?
俺が困惑してると、バスの入り口から氷室さんがひょこっと顔を出して唯香さんのことを呼んだ。
「唯香さん。メイクお願いします」
「はーい。今行くー。てことだから、王野君はその辺で、てきとうに待っててくれたらいいよー」
「わ、分かりました」
唯香さんはバスの方に走って行き、俺は1人その場に取り残された。
やっぱり、俺、来た意味なかったんじゃ・・・・・・。
せっかくここまで来たのに、このまま氷室さんのプロの姿を見ずに帰るのはもったいないような気がしたので、俺はその辺をブラブラと歩くことにした。
☆☆☆
しばらく、土曜日が続きます!笑
土曜日はボリューミーです!
楽しんでいってください☺️
今日は5話投稿です!
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