6月8日(火) 12:00〜
クラスメイトから興味津々の視線を受けながら午前の授業を終えた俺は、教室から逃げるように、学校に来る途中にコンビニで買ったパンを持って屋上に向かった。
さすがにあの視線の中で昼食を食べる勇気は俺にはない。
「さて、これからどうするか……」
考えても仕方のないことだが……。
一応何か対策を考えておかないとな。質問攻めにあって面倒なことになりかねない。
「それにしても、まさか氷室さんの方から話しかけてくるとはな……」
こんなことになるなら釘を打っておくんだったな。
今までは朝のあの時間だけしか話すことがなかったから、完全に油断していた。
完全に予想外だった……。
「とりあえず、ご飯食べるか」
コンビニで買ったハムレタスのサンドイッチを一口食べた。
「あ!やっぱりここにいた~!」
俺しかいない屋上に快活な声が響いた。
「げっ……」
一番厄介な奴が来てしまったな。
真美の後ろに続いて歩と……氷室さん!?
「ちょっと~!げっ、って何よ!?」
といいつつ、真美の顔はニヤニヤとしている。
どうやら俺は覚悟を決めた方がいいらしい……。
「さて、翔~。話を聞かせてもらいましょうか?」
俺の左側にドシっと座って、肩をつかんでくる。
真美の隣に歩が座った。俺は歩の顔を見たが、諦めろ、と言った感じで苦笑いを浮かべるだけだった。
真美も問題だが、俺の右側に座った氷室さんも問題だ……。
なんでここにいるんだよ?
「その前にいいか?」
「何?」
「なんで氷室さんが?」
「それは、ほら、当事者がいた方がいいかなって思って!」
余計なことを……。
これじゃあ、言い逃れができないじゃないか……。
「私のことはお気になさらず。お二人に誘われて、屋上でお弁当を食べようと思っただけですので」
いやいや、そんなわけないよね?
氷室さん楽しんでるよね?この状況!
「だってさ、翔。さぁ、何があったか白状しなさい!」
「白状も何も……本当に何もないって……」
俺は昨日のこと、今朝のことを『バカップル』に話した。もちろん、あの辺のことは伏せて。
その間、氷室さんはニコニコと楽しそうにお弁当を食べていた。氷室さんがあの辺のことをばらさないかと心の中はヒヤヒヤとしていたが、どうやら杞憂だったらしい。
「ふ~ん。それで、氷室ちゃんと仲良くなったんだ~」
納得してないといった感じの真美。
「まぁ、そういうことにしといてあげる!」
「そういうこともなにも、今話したのですべてだって」
これ以上は聞くなと、今度はちゃんと釘を打った。
「ところでさぁ、朝帰りしたっていうのは本当?」
「なっ……!?」
俺は氷室さんのことを見た。
何言ってんだよあんた……!?
当の本人は、なんとも思っていないらしく、天使の微笑みで俺のことを見つめていた。
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