6月16日(水) 12:00〜
今日は『バカップル』と3人で教室でご飯を食べていた。
氷室さんはモデルの仕事を辞めると言っていたが、それでも有名モデルなので、まだ仕事はあるらしく、今日は午前で早退していた。
「それにしても、雨凄いな」
「だね〜。姫香ちゃん大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。唯香さんが迎えに来るって言ってたし」
「誰?唯香さんって?」
「誰って、氷室さんのマネージャー・・・・・・あっ」
そこまで言って、しまったと思った。
2人が俺のことを見てニヤッと笑っている。
つい、口が滑ってしまった・・・・・・。
「翔ー。白状してもらおうか〜?」
「唯香さんって誰だね?」
2人が手を止めて顔を近づけてきた。
正直に白状するか・・・・・・。
無言を貫くか・・・・・・。
無視して弁当を食べ続けるか・・・・・・。
いろんな、選択肢があったが、結局、2人の追及に抗うことができず、話してしまった。
「へぇ〜。土曜日にそんなことがあったんだ〜」
「てことは、翔、俳優デビューするの?」
「するわけないだろ。あの1回だけだよ」
「なーんだ。つまんないのー。今のうちにサイン貰っとこうかと思ったのに〜」
「貰うなら、氷室さんのやつを貰っとけよ」
「あ、たしかに!」
俺のサインより氷室さんのサインの方が何百倍も価値があるだろうに・・・・・・。
まぁ、もうそろそろモデルは辞めるみたいだけどな。氷室さんがモデルを辞めるということはこの2人は知らないみたいだった。どうやら、俺にしか話してないらしい。
「てかさ〜。今日からテスト期間だね〜」
「うわぁ〜。テストかー」
歩が大袈裟に頭を抱えた。
それもそのはず、歩は運動はできても勉強はできないのだ。いつも、俺が勉強を教えて赤点をギリ回避するレベルだ。俺が勉強を教えなかったら、赤点は免れないだろう。そのくらい、歩はスポーツにステータスを全振りしている。
まぁ、そのおかげで中学の時からずっとサッカー部のエースストライカーなんだろうけどな。
「翔〜。今回も頼む!」
「分かってるよ」
「まじ、助かるわ!持つべきものは『超人』だな」
「おい、それ次言ったら、勉強、教えてやらないからな」
「すみませんでした!」
地面におでこをつけて土下座をした歩。
相変わらず、リアクションが大袈裟だ。
「で、真美は大丈夫なのか?」
「な、なんのこと?」
「何って、テストに決まってんだろ」
俺がこの2人のことを『バカップル』と呼ぶのは、言葉の通り、この2人がバカだからだ。なにも、公然の場でイチャイチャするからそう呼んでいるわけではない。
「わ、私は大丈夫!」
「その根拠は?」
「姫香ちゃんに勉強教えてもらうことになってるから」
「いつ、そんな約束を?」
「こ、これから、するの!」
「つまり、まだしてないんだな」
「そ、そうとも言うけど、きっと姫香ちゃんなら助けてくれるもん!」
まぁ、氷室さんなら協力するだろうな。
「とりあえず、お前ら放課後、図書室で勉強な」
「いや、俺は用事が・・・・・・」
「私も用事が・・・・・・」
「赤点・・・・・・取っても知らないぞ」
「「や、やります!やらせてください!」」
2人して声を揃えて土下座をした。
本当に息ぴったりだな。
その日の放課後は下校時間になるまで、みっちりと勉強を2人に教えた。
☆☆☆
次回更新6/25(金)14時!!
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