二年生編

第248話 番外編『ハニートースト(高校生編)』

「翔君はどれにしますか?」

「いろんな種類のはちみつがあるんだな」

「そうですね」


 俺は姫香と一緒にハニートースト専門店にやって来ていた。


「姫香はどれにするんだ?」

「どれにしましょう。悩みますね」


 姫香は顎に人差し指をあててメニューを見つめていた。

 ハチミツの種類は十数種類あった。

 みかんのハチミツやメロンのハチミツなどもある。

 姫香が悩むのも頷ける。

 俺もどれにしようか悩む。

 何にするかはもちろん姫香が決めた後に決めるつもりだった。


「てか、一人一枚づつ食べるのか? 姫香、一枚食べれるか? かなり大きそうだけど」

「大丈夫です」

「そうか。じゃあ、一枚ずつ食べるか。で、今どのはちみつで悩んでるんだ?」

「メロン、ブルーベリー、みかん、それから桜というのも気になります」

「四種類か。全部食べようと思ったらもう一回来ないといけないな」

「そうですね。また来ましょう」

「そうだな。で、今回はどれにする? 俺は姫香に合わせるぞ」

「それでは……メロンと桜にします」

「了解」


 メロンと桜のハチミツを店員さんに注文すると俺たちは席に着いた。

 店内にはハチミツの甘い匂いが充満していた。


「楽しみですね」

「そうだな」


 ハニートーストは五分後に俺たちの席に運ばれて来た。

 ハチミツは後からかけるらしく、別の器に入れられていた。


「うわぁ~。翔君! アイスクリームも乗ってますよ!」


 姫香は運ばれて来たハニートーストを見てはしゃいでいた。

 姫香の言う通りハニートーストの上にはバニラアイスが乗っていた。


「翔君! 今からハチミツをかけるので動画撮ってもらえませんか?」

「分かった」

「ありがとうございます」


 動画を撮るためにスマホを取り出した。

 姫香がハチミツの入った器を手に持つ。


「それではいきますね」


 それを合図に俺は録画ボタンを押した。

 俺が録画ボタンを押したのを確認すると姫香がハニートーストにハチミツをかけていった。 

 ゆっくりと器からハニートーストに向かって流れ落ちるハチミツはキラキラと輝いていた。

 ちなみに姫香の方は桜のハチミツだった。


「どうですか? 綺麗に撮れましたか?」

「確認するか?」

「はい」


 姫香に今撮ったばかりの動画を見せると「綺麗に撮れてますね」と嬉しそうに笑った。


「翔君も撮りますか?」

「いや、俺はいいよ」

「言うと思いました」


 俺はてきとうにハチミツをハニートーストにかけた。 

 姫香が桜ということは俺のはメロンということだ。


「それでは食べましょうか」

「そうだな」


 ハニートーストはナイフとフォークを使って食べるらしい。 

 ナイフとフォークを手に持ってハニートーストを切ろうとする。

 しかし、なかなか食パン耳が切れなかった。


「これ、食パンの耳が固くないか?」

「硬いですね。耳は最後に食べることにしましょう」

「そうだな」


 とりあえず、食パンの耳は後で食べることにして、パンの部分を食べることにした。

 パンの部分はふわふわなほど柔らかく簡単に切ることができた。


「こっちは簡単に切れますね」

「そうだな」


 姫香が切ったパン屋フォークを刺して口に運んだ。


「どうだ? 桜味。美味しいか?」

「美味しいですよ。桜味というのがどういうのか分からないですけど、美味しいです」

「いつも思うけど桜味って意味不明だよな。結局何味なんだろうな」

「分かりませんね。でも、美味しいからいいです」

「それはそうだな。俺の方も一口食べるか?」

「食べます」


 俺は姫香の口にハニートーストを一口運んだ。


「こっちの方が美味しいですね」

「交換するか?」

「いえ、大丈夫です。こっちも美味しいですから」

「そうか」


 姫香がいいというのならそれでいい。


「それにしてももうすっかりと春だな」

「そうですね。春の陽気な日差しが温かいですね。こんなに気持ちがいいとお散歩をしたくなります」

「散歩か。食後の運動がてら少しだけして帰るか」

「して帰りましょうか」


 まだ桜は咲いていないだろうが、これだけ温かいともうそろそろ開花する頃だろう。

 ハニートーストを食べ終えた俺たちは家の近くの散歩道に向かうことにした。


☆☆☆


かなり久しぶりのクラ好き✨

春のお話を書こうかと思ってます!

二人の読みたい話があったらコメントください!

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