第220話 大学編part20 姫香の誕生日③

ここからタイトルを『新生活編』から『大学編』に変えます。


☆☆☆


 5月中旬。

 そしてやってきた姫香の誕生日。

 もちろん、姫香は俺と違って自分の誕生日を忘れているということはなかった。

 本当は俺の時みたいにサプライズでもできたらよかったんだろうけど、仕方がない。

 そして、もちろん例のごとくあの二人もいる。

 

「今日は姫香ちゃんの誕生日だー!」

「うぉぉー!」

「最高の1日にしてあげるぞー!」

「うぉぉー!」


 と、まぁこんな感じで家に来てからずっと騒ぎっぱなしのバカップル。

 そんな二人の様子を見て姫香が嬉しそうに笑ているから許してるけど、これ以上騒がれるとご近所さんに迷惑になりそうなので、この辺で少し釘を刺すことにする。


「おい、お前ら騒ぐのはいいけど、もう少し声のボリュームを下げろ。じゃないと追い出すからな」

「はい!分かりました翔様!」

「かしこまりです!」


 そう言って俺に向かって敬礼をしてくるバカップル。

 そんな返事だけは良い二人に「本当に分かってんのかよ」とため息を漏らした。


「ふふ。今日くらいは許してやってくださいな。なんてったって今日は私の誕生日ですから!」

「この二人がうるさいのは今日だけじゃない気がするんだけどな。てか、姫香もテンションが高いな」

「そりゃあ、今日は私の・・・・・・」

「誕生日、だろ」

「もぅ、最後まで言わせてくださいよ!」


 いつになくテンションが高い姫香は頬をぷくぅっと膨らませた。


「まぁいいです。許してあげます。今日は私の誕生日ですからね!」

「結局言うんかい」


 俺がそう突っ込むと姫香は楽しそうに笑った。

 と、まぁこんな感じのテンションが二時間ほど続きお昼前になろうとしたところで、俺はキッチンへと向かった。

 俺の誕生日の時には姫香が手料理を作ってくれたからな。

 日頃の感謝も込めて今日は俺が姫香に手料理を振る舞おうと思っていた。

 事前に姫香の好きなものの料理の食材を買っていた俺は早速調理に取り掛かった。


☆☆☆

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