『②4人で花火』

土手に到着して、早速準備に取り掛かった。

 

「まずはこれをしないとね!」


 そう言って真美がカバンから取り出したのは、虫よけスプレーだった。

 

「確かに、それは重要だな」

「蚊に噛まれたら最悪だもんね」

 

 腕と足、肌が露出している部分に真美は虫よけスプレーをかけていった。

 そんな真美も今日はワンピース姿だった。

 

「はい。姫香ちゃんも使って」

「ありがとうございます」


 姫香は真美から虫よけスプレーを受け取ると、同じように露出している部分にかけていった。

 

「翔君もどうぞ」

「ありがとう」


 虫よけスプレーを姫香から受け取って、俺も腕にかけた。

 最後に歩に渡して、みんな一通りかけ終わった。


「よし~!これで思いっきり楽しめるね~!」

「だな!」


 歩がろうそくに火をつけて、花火大会が始まった。


「まずは何からやる~?」

「やっぱりまずは、ブシューってなるやつだろ!」

「なんだよそれ、ススキ花火のことか?」

「名前は分かんないけど、翔が言うなら多分それだ!」

「じゃあ、これだな」


 そう言って、俺は歩にススキ花火を渡した。

 

「サンキュ!」

 

 俺の渡した花火を歩はろうそくの火に近づけた。

 火はすぐに花火へと移って、花火の先端からまばゆい光が線になって現れた。


「おーこれこれ!正解だったな!」

「翔~!パチパチする花火はどれ~?」

「これだろ」


 俺は真美にスパーク花火を渡した。

 真美も花火をろうそくに近づけて火を灯した。 

 黄色い光と共にパチパチという音が響いた。


「姫香はどれをやる?」

「私もパチパチのやつをやります!」

「じゃあ、俺は歩と同じやつをやるかな」


 俺と姫香も花火を持ってろうそくの傍に向かった。

 

「わぁ、つきました!感動です!」

「綺麗だな」


 俺たちの持っている花火も明かりが灯った。

 だが、花火は一瞬の刹那だ。すぐに消えてしまった。


「もう、消えてしまいました」

「俺のもだ」

「次のやつをやりましょう」

「そうだな」


 それから俺たちは線香花火以外の花火をやりつくりした。


「さて、じゃあやりますか!」

「ですね。負けませんからね!」

「俺も負けない」

「勝つのは俺だけどな」


 それぞれが線香花火を手に持ってろうそくに近づいた。


☆☆☆

次回更新18時!

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