第81話 奴隷商の願い
day33
朝起きるとまだ2人は寝ていたがエトワールを起こしてアヤメを起こさないように着替えをする。
裸になったエトワールに断りを入れれエロ抜きで体をぺたぺた触り、状態を確認し部屋を出てから
「だいぶん体付きが本来の姿に戻ってきてるな。まだまだだから無理しないで体力を付けようね!」
と評価をした。まだあばらが浮いており痩せすぎている。
ランニングの時にやたらとこちらを見る奴にすれ違った。5時半頃にしては人が多かったな。
ランニングにはフレデリカとセレナ、ナンシー、シェリー、レフトアイ、トリシアにクレアとニーベリングと付いてきていた。
皆にはスポーツブラの様なのを着けさせた。先日朝のトレーニングでフレデリカの乳首の突起がはっきりとシャツの上から見えていたので、俺以外の男に見せたくないからだ。
屋敷に戻り剣術などの訓練に勤しんだ後は皆で風呂に入り朝食を済ませて出発になったがナンシーはギルドだ。
段々国境に近くなり、今日は二つ目の街に着き夕方を迎えたが、この先に国境があるという。
いよいよ国境超えになるのだ。
何時もの如く脇道に入りゲートポイントとした所から屋敷に戻っていった。
今日はゴブリンとかオーク以外何も出てこなくて拍子抜けした楽な1日だった。
明日は国境を越えるので最小限の屋敷要員としてシータとエリシスを残して男衆とその妻達を含めて全員で馬車に乗り動く事にする。
幸い馬車は増えており基本的に8人乗りの馬車が4台有る。
ブラックオニキスを1号車
ブラックスワンと調理人、メイド要員を2号車、ムーンストーンが3号車でムーンライトは分割して1号車と3号車、セバスチャン達4は号車に分乗する。
帰宅すると夕食を用意してくれていたので、クリーンで綺麗にしてから早速食事を頂いた。
俺のモットーで来客時以外はメイドも料理人も全て一緒のテーブルに座り食事をするが、中々定着が難しかった。
食事を終えると来客があった。
普段は俺が最初にフロを済ませるのだが、今日は来客の為に俺が最後と伝えた。
来たのは奴隷商の主だった。
応接よりも俺の執務室が良いと判断して、執務室の応接セットに座って貰ったが奴隷商は応接室ではなくて執務室に招かれた事に驚いていた。
いずればれるからと奴隷商人には俺の能力を伝える事にしていた。なのでウリアを同席させている。
元々この奴隷商が長年手塩に掛けた高級奴隷なので勿論顧客の情報を守る事を条件に秘密を話す事にして欠損奴隷の修復に成功した旨を伝えたがこちらの予想と反して余り驚かなかった。
逆に警告を受けたのだ。
既に知っていて感づいているのが自分以外にも居ると。奴隷商に
「すまない。話を聞く前にこちらの話をしてしまった。本日の訪問の要件は何でしたか?」
「恐れ入ります。小耳に挟んだ情報がございまして、その件でのご忠告と今度のオークションのご案内で御座います。それとS級に成られましたお祝いを申し上げたく参りました」
「いや、御丁寧に有難う御座います。あ、そう言えばそうか、そろそろそんな時期か。」
とナンシーとシェリーを見ると頷いている
「今回はマーガレット嬢が亡くなった為に最高予定額の奴隷の行き先が読めない状況で御座いまして、例えご購入なされなくてもオークションの入札を見るのも面白いかと思いましてお誘いに来ました。」
「うん。流石に俺も増やし過ぎたから、変態貴族等に行かないのであれば静観かなと思っていますが、何せ奴隷引換券がまだありますので、いざとなれば何でも行けますが、わざわざ来られたという言う事は目玉になる奴隷が有り伝えに来られたのでは?」
「流石ランスロット卿で御座います。鋭いですな。実は若干13才なのですがこれがまた既に絶世の美女との呼び名も高く、これなんですよ!」
と胸に手を置き大きいぞというアピールをしている。
「いやー流石に13の子に刻印の儀を出来るほどに俺の精神は出来ていないですよ。」
「その子はですな、頭が大変良くて、既に王家に出入りしている私塾の塾頭を論破した学者でもあると言うのです。無論ランスロット殿が幼児愛好者では無いのは存じ上げておりますし、ナンシー嬢の奴隷にすれば同性同士で刻印の儀は不要で御座いますので、成人までお待ちになれば大丈夫で御座いますよ」
俺の心は少し動いた。今この家には一番頭が良いのが俺で、次がセレナになるだろう。但し異世界の知識だ。この世界の知識で言うとお世辞にも抜きん出て居る者は居ないのである。
「ナンシーどう思う?」
「わが家には参謀がおりません。極端に頭の切れる者がおりませんからその子が成人するまで私の庇護下に置いて、貴方好みに調教をすれば良いと思います。」
ナンシーは奴隷商に向き合い
「私も興味が有ります。面談はいつ出来ますか?」
「もし宜しければ今からでも行けますが如何しますか?」
ナンシー達の様子を伺い頷いてお願いした。
「それと警告はなんだった?」
「何でも先日死亡されたと言う召喚勇者のセリカ様が生きていて、こちらの屋敷に出入りするのを見たという噂が御座います。何でも王がご執心だったとか。それとランスロット様のお名前が、先日勇者召喚を行った後王女様に暴行を加えた罪で放逐された方の名前と一緒と話題になっております。」
背中に冷や汗をかき試しに語気を強めた
「貴様は俺の事を何処まで知っている?前から頭が切れる奴だとは思ってはいたが俺が思う以上に知っているのでは無いか?」
「ほっほっほっほ。失礼ですが語気を強めても無駄ですぞ!試しておいでなのは分かっております。無理をせず普段通りでけっこうで御座います。私が知っているのはトマスから聞いているからですよ。」
俺は思わず剣を収納から取り出し切っ先を奴隷商に向けた。
「てめえあの方に何しやがった!」
「ふふふふふ。まあそう興奮なさらずとも大丈夫で御座いますよ。私は勇者様のお見方で御座いますから」
と出されたお茶を一口すすり
「あれがですな、嬉しそうに言うのは久し振りでしてな、あいつ、あいつが生きてたんだ、俺が命令とは言え森に置いて来ちまった奴がと貴方から貰った短剣をそれは嬉しそうに見せるんですよ。」
俺は口をポカーンとして思わず
「えっ」
と呻いて剣をしまうと
「愚息がお役人立てたようで何よりです」
と、どや顔で言ってきたので驚きまくった
「まさかトマスさんのお父上でしたか」
「ふふふ。流石に驚いてい御座いますな。それと先の情報の見返りとは言いませんが一つお願いがありましてお聞き入れ願えないかと思いまして。その可能な限り謝礼もしたいと思いましてな。あと、セリカ様を奪取しようと色々な動きがありますので警告をしておきます。」
珍しく言いにくそうなので、尋ねた
「ほかならぬ貴方の頼みだ。俺で可能なら何でも言ってくれ」
「実はですな、トマスの婚約者が先日暴漢に襲われましてな、右の目と耳、左腕を喪ってしまいましてな、貴方なら何とかならないかと思いまして。その無理なお願いとは承知の上でお願い申し上げる次第です」
「分かりました。明日朝9時には奴隷を見に行きますから、それまでに商館に連れてきておいて欲しいのですが出来ますか?」
「よ、宜しいのですか?勿論可能です。」
「トマスさんの婚約者だし、まあ先の話の情報料としては不足かもですが、やりましょう」
と握手をして奴隷商は引き上げていった。カモフラージュであと何件かオークションの案内の為に訪問するという。
俺は全員を食堂に集めて先の話をして注意喚起と明日からの行動を話した。
最悪ここを引き払うから、大事な物は持っているようにと明日からは武装をして外出する旨伝えた。
ナンシーに参謀候補について話をして、念の為に奴隷引き換え券を一枚渡しておいた。
なんだかんだと寝る時間になった。今日は念の為にと警戒の為にと3人一組で歩哨を立てる事として俺は最後に夜伽の番の者と担当する。
夜伽当番はシェリーとフレデリカだったが嫌な予感がして長い時間力強く抱き締めて愛してると何度も呟いた。そして嫌な予感とは当たる物である。
しかし、眠気も来るし寝ないわけにはいかなく、フレデリカに抱き締められて、その鼓動の音を子守唄にして眠りに落ちていった。
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