第350話  歓迎

 食堂に入るとカグヤとオルフィーネは拍手喝采で迎えられた。二人はかなり驚いていたが、それでも直ぐに自分達が祝福されているのと分かり涙していた。またその人数の多さと、見た事のない顔触れに時間の経過を思い知らされたのである。


 彼女達は自分用に出されている食事を見て戸惑っていた。みんなと同じ物が出ていたからである。俺は優しく



「体は完全に健康な体に作り変えられている筈だから大丈夫だよ。万が一異変を感じたら言っては欲しいけども、その場合は俺の治療魔法で治すから、みんなと一緒に普通に食べてみて」


 そう言うと二人はパッと明るくなり、食事を食べ始めた。


 どうやら先程まで食べていたのは消化に良い特別食だったようで、普通の食事を普通に食べられており、ひたすら泣きながら食べていた。


 俺はそんな彼女達を見てほっこりしながら食べている!ところではなかった。そう彼女達の涙を拭ぐうのに忙しかったからである。


 そして食事の後はお風呂だ。お風呂は今日はナタリー、カグヤ、オルフィーネの3人が俺と一緒に入ると言い出した。そして誰の入れ知恵だろうか、体を隅々まで洗って欲しいと言う。


 どうせトリシアだろうと、何故か俺の妻達は俺と一緒に過ごす日は、俺が体を隅々まで洗う習慣があるとそう聞いていると言う。


 まあ、今ではなく後日に訂正はしようとは思うが、それは丁寧に洗ってあげた。体を人に洗ってもらうなんて子供の頃に親に洗われて以来だと、それはそれは喜んでいた。


 そういう事を言われていたので、ちゃんとまじめに洗わざるを得ない。彼女達にも洗われたが、又もや違う種類の洗い方をされて昇天したとかしないとか。


 ただやはりカグヤとオルフィーネはそれなりに消耗している為か、長湯の為か少ししんどそうにしていた。その為、お風呂の後は一人ずつお姫様抱っこで俺があてがわれている部屋に連れて行く。そう俺は死者蘇生の時には丸1日経つまでは一緒に過ごすと言ってあるので、俺への添い寝をするのだそうだ。 


 明日になれば残りの3人に対処しなければならない。 

 次に試そうと思うのは3人いっぺんに死者蘇生をする事だ。例え二人しか死者蘇生を一度にできなくても、丸一日以内に残りの一人を死者蘇生するだけの魔力が回復している筈なので特に問題はない。


 一人ずつやるこ事も考えたのだが、何故かは分からないけれども、そうしなければならないと思ったのだ。



 二人は鏡で自分の体を見て戸惑っていた。そう10年前と体が大幅に違うからだ。徐々に徐々に成長していくその姿を本来は自分で認識するのだが、寝たきりで何もできない状態で自分の体の変化というのがよく分からなかったからであり、小中学生だった者が気がつけば大人の体になっている、それ位の違和感がある。更に戸惑いを隠せなかったのが、初潮が来て妊娠できる体になっている事だ。


 今までは生理の処理は世話をしてくれる者達が行なっていたが、これからは普段から自分でしなければならない事だとは分かってはいたが、やり方が分からない。その為に明日からそういった女性特有の教育を姉妹達から教えて貰うと言っていた。 


 そんな話をしながらベッドで横になっていたが、先にカグヤが寝ていき、その後間もなくオルフィーネも眠りに落ちて行った。


 俺も色々な事を考えてはいたが、やはり眠りには落ちる。

 それはそれはとても心地の良い至福の時を過ごすしていたのだが、今はまだ、暫くの間ははそのような日々を過ごすのだと思っていたのだった・・・

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