第261話 救助
俺は目の前で首を吊って亡くなっているのがクラリスだと確信した。
死後それなりに時間が経っているのがわかった。何故ならば体から汚物が排出されていたからである。
弛緩筋が働かなくなった結果として当然、膀胱の中にある尿や腸の中の便が出てしまうもので、窓からもはっきりと分かるし、何より汚物の臭いが漂っている。
だがまだ丸1日経っていなければ、俺の死者蘇生でなんとかなる!
そう思い壁をライトソードで焼き切り、壁が落下すると音で騒ぎを聞きつけられるので、一旦切り取った部分を収納に入れる。そして部屋に入ると 熱を持って溶けている切り取った部分を出してそこに当て、周りを収納にある他の部材で補強し、壁の落下を防ぐ。これで時間を稼ぐ事が可能だろう。そして俺はさらに時間を稼ぐ為の手段を考えた。
その前に死者蘇生を途中まで試す。実行はしないが、死者蘇生で蘇生対象が出るかを確認すると、確認ができた。どうやら猶予はあと1時間もないようだった。
彼女は 美しかった。母親と同じ見事な銀髪のストレートだった。膝の辺りまであるかなり長い髪だ。俺はふと思った。彼女はどうして 自らの命を絶ったのであろうか? おそらく 母親が自分のために魔王の手先となり、民を虐げざるを得ない。その状況を辞めさせる為の手段とした。
自らの命を絶つ事により、死ぬに死ねなかった母親を死なせてあげようとしたのであろう。そうする事によって無垢の民を苦しめる事を避けようとしたのではないか!? 俺はそう感じた。
母親は娘の事を溺愛しており、そんなクラリスが人質となれば、人質の効果は絶大である。おそらく自殺した場合も慰み者にするとして、実質自殺も禁止されたのであろう。しかも自殺を禁止したのではなく自殺をしたらどうなるかという事だけお伝えその気になれば自殺できた筈である。かなり苦悩しただろう。酷い事をする。
俺は彼女の脚を切断し本
体を欠損修復した。そして 部屋の中をクリーンで綺麗にし、欠損修復をその脚に施し始めた。
彼女の本体をよく見ると胸がかなり控えめだった。母親の外観からはそれなりの胸を期待したが、残念ながらそうではなかった。なのでここは欠損修復をする過程で俺の欲望サイズに変えさせて貰う。きっと彼女は 驚くであろう。そして欠損修復が終わったその体は俺の欲望が詰まった見事な体になった。
取り急ぎ服を着させて死者蘇生を行う準備が整ったので、ゲートでセレナを呼んだ。
かいつまんで状況は念話で説明してあり、その為セレナは死者蘇生で俺が気絶した後に屋敷に連れて行くように話をした。俺は一旦皆の所に戻り屋敷とゲートをつなげ皆を返した。
そしてまたセレナの所に戻り俺は死者蘇生を開始した。いつものことだが気分のいいものではない。魔力を全て持っていかれ、その状態は何度経験しても慣れないものである。そうしてクラリスの胸に心臓の鼓動を感じた直後に やはりブラックアウトした のであった。
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