第290話 転移局到着
壁を乗り越えると転移局の入り口があった。
更に奥に扉があるようだ。
しかし、扉から誰かが様子を伺っている感じだ。
早速オリヴィアが
「私です。戻ってきました。 皆は無事ですか?それと周辺の駆除は完了してますよ。さあ出てくるのです!」
床にステータスカードは無かったから、既に回収している筈だ。
俺達はゆっくりドアに近付き敵意の無い事をアピールした。
すると何人かの天使がこちらに来た。オリヴィアを見て安心したようだ。
その中の一人が
「良かった。ちゃんと救世主を連れてきてくれたんだね。あの方も浮かばれるよ。」
そうして招き入れられ、頷きながら中に入る。
そこは正に俺達を転移させたその場所だったようだ。
転移局にいる天使が全て出てきた。
オリヴィアによると半数位しかいなく、精々5級天使しかいない。オリヴィアの上司も居なかった。
「俺は下界で天使に生まれ変わったランスロットだ。見ての通り1級天使だ。そして君らの知っている彼女は3級天使にして俺の妻だ。彼女に全てを報告し、指示を仰ぐんだ。奴らは俺が倒してやる」
皆が床に頭を擦りながら俺に恭順の意を示した。
まずは一部の者に中を案内させて、オリヴィアに報告をしていって貰う。
ふと思い出した。今のはオリヴィアに触れた時に見た幻影だった事を。
まずオリヴィアの上司はオリヴィアを転生させる時の生け贄となったと。所長は上級天使の住居地にいた筈だから、既に死んだと見なされていた。
今は皆の努力で空間の歪みとかは無くなっているが、歪みから、文字通り異世界の、他の星のレベルではなく、異次元、又は他の宇宙から来ているようだ。
既にいくつかの星が奴らに飲まれているらしい。
認識が難しいが、並行世界が存在しており、本来神にしか出来な異次元、そう、他の次元や並行世界とゲート等を繋げるのは不可能らしい。しかし、現実問題として繋がってしまったと。その為にダメージが大きかったのが分かる。
転移局は転生も行う。今は転生待ちがかなりあるらしい。
副長が生きていたので実務は問題ないらしいが、居住区との通路を既に確保したと伝えるとかなり驚いていたのが印象的だった。
彼らは何度も突破を試みたが、駄目だったらしく、やむを得ずオリヴィアを送ったそうだ。
俺との接点が無いと出会えないからとオリヴィアが選ばれたそうだ。
今は通常任務を行わないと魂が救われないそうで、速やかに転生を始める必要があるそうだ。良くわからなかったが、オリヴィアが頷いたから任せた。
また、まだ実行されていないワーグナーからの転移召喚は俺の権限でキャンセルさせた。
転移を取り消しする権利は天界にあるそうだが、キャンセルすると神界に知られ、介入が入る可能性があるらしい。
良くわからないが、少なくともワーグナーからの転移を実行すると、まず間違いなく天界が崩壊する内容だったのである。
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