第20話  換金

 朝目覚めると、俺の顔は双丘に埋まっていた。シェリーが俺の頭を抱えていたからだ。


 道理で寝心地が良いわけだ。チョイ息が苦しいけど。俺の手は彼女の背中を抱きしめていた。少し痺れていたが、その滑らかな肌の心地良さにいつまでも堪能して居たかったが、そういうわけにはいかなかった。


 お互いおはようの挨拶をしたらシェリーが先に寝床から出て服を着はじめた。


 今日は冒険に向けての道具の購入と、昨日の分とまだ出してなかった討伐証明をギルドへ換金に行く予定だったので、普段着に着替えていた。


 そんなシェリーの着替えを堪能していたが、やはり綺麗である。まだ一緒に過ごすのは数日だが、日に日に肌の色艶が良くなってきているのと、スタイルが良いと言うよりモデル体型を超えてがりがりだった躰も段々健康的な柔らかさを取り戻しつつあった。


 実はまだ彼女と致すことを躊躇っているのには、彼女の躰が本来有るべき体重に遠く及んでいなくて、痛々しく壊れそうなのと、彼女とこれからの人生を一緒に歩む覚悟と子をなす覚悟がまだ無かったのもある。昨日は裸で寝たけどまだだから。


 劇的な出会いではあるし、愛おしくもある。一緒に生きていく覚悟も期待も出来つつあった。


 しかしこの世界にはコンドームが無い。いくら躰の外に放出しても妊娠の可能性が高くなるので躊躇していた。実は手が有ったのだがそれを知るのはまだ先。生きる為にお金を得る算段が無くては子を育てる事など出来るはずが無いのだ。


 なので今は彼女の健康回復を待つ事にして、決断を先送りにしていた。着替えの時にも確認したし、ベッドの中で背中をさすっている時にも感じたが痛々しい位骨が浮き出ている。


 シェリーはシェリーで時折挑発してくるし元気なのだが。


 朝食を済ませて早速テントなどを扱っている装備店に赴く。背嚢と二人用の小さ目のテントと魔石ランプ、携行用の毛布、簡単な調理器具等、野営に必要な物を一通り選んで購入した。


 その後宿に荷物を置きに戻り討伐証明と魔石を持ってギルドへ出掛けた。

 一部強化用に残す事にし、ある程度売ることにした。


 実は魔石のいくつかは壊してしまい倒した魔物の全てから回収できたわけでは無い。

 首ちょんぱを狙う事が多いのは一つにこれを避ける為である。袈裟懸け、なぎ払い、ましてや心臓への突き刺しでは魔石を壊すケースが多く、当初鎧を貫通する膂力が無かったので、首を刎ねる方が現実的で、多用していたら、いつの間にか俺の戦闘スタイルとなっていた。

本当は首を刎ねる方が、難易度は高かったりする。


 俺達がギルドに着いたのは11時を回った頃で、朝のピークを過ぎておりギルドは比較的に空いていた。


 ナンシーの所に並び、順番を待つ。

 以前のように絡まれる事も無く、5分程で順番が回ってきた。


 南の魔の森で取れた分のオークの魔石は強化用に取っておいてあり、今日は持ってこなかった。



 ゴブリン8匹の討伐証明と魔石21個、オークの4匹の討伐証明と魔石4個、オーガの魔石2個を出した。

 常時依頼の依頼を昨日受注しており、ゴブリン6匹とオーク2匹の討伐依頼を完了する手続きをした。



 討伐証明はゴブリンが8000,オークが20000,魔石はゴブリンが8000,オークが32000、オーガが10万、昨日渡していた討伐証明が40000、クエスト達成報酬がゴブリンが10000、オークが20000,の合計23万8千ゴールドとなり、結構な稼ぎとなった。



 そして早速ランクアップしEに上がった。オーガはBランク寄りのCランクの魔物の為と教えてくれた。



 今日はこの後に武器の購入をする予定にしている。


 ナンシーがシェリーに尋ねた


「所でシェリーさん、お昼はこれからかしら?もう少ししたら私休憩に入るのだけど、もし良かったらお昼をご一緒に如何?」


シェリーが俺の顔を見るので、俺は頷いた。ナンシーは


「じゃあ二人は待合所で待ってて欲しいの」


と言い他の受付嬢に


「お昼に行ってきます」


と言いつつ一旦カウンタの後ろに下がり、上着を羽織って出てきた。俺は行くとは言ってないのだが、ちょっと強引だなと苦笑した。


「さあシェリーちゃん行きましょう。すぐ近くに美味しいお店が有るんですよ」


呆気にとられているシェリーと腕を組んで歩きだした。美人が二人腕を組んで歩いているのは凄く絵になる。


 ギルドから200m位離れた所にある小洒落たカフェレストのようなお店に来たけど、俺一人だと敷居が高そうな女性客ばかりのお店だった。

 店員に案内され、席に向かって歩くのであった。

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