第21話 ランチデート

 「ここってひょっとして?」


 と聞くと


「はい!そうですよ。男性は女性同伴じゃないと入れないお店なんですよ」


 という答えが返ってきた。入店してから入り口を振り返ると、ナンシーの言葉通り、入店を断られ中の冒険者と思われる男がいた。多分、彼女のストーカーだろう。


 テーブル席に着くとナンシーはシェリーをまず座らせ、俺を対面側に押し込んだ。間髪いれず俺の隣に座り、店員を呼び注文をし始めた。


「日替わりランチが当たりのお店なんですよ」


 と3つ注文してくれた。

 おっとりした感じかと思ってたが、中々颯爽とてきぱきこなす出来る娘のようで、不覚にもギルドでの様子とのギャップにドキッとした。


「改めて宜しくお願いしますね。先月ランスロットさんと同じ年になったナンシーです。所でお二人の関係って聞いても良いですか?」


 間髪入れずにシェリーが


「私はランスロット様の第一奴隷をしておりますシェリーです。」


 と、どや顔で言ってもうた。うわー、奴隷は隠そうね、と言ったばかりなのに、あっさり言ってくれた。


「えっ!首輪がないけど、どういう事ですか?」


 と、ナンシーが詰め寄ってくる。


「うん。便宜上俺と奴隷契約をしているが、シェリーが一言、奴隷契約破棄と言えば、いつでも契約を解除出来るんだ。俺の奴隷だと、ステータスの上昇補正が入ってかなり強くなれるから、奴隷契約してるんだ。これは、俺達だけの秘密にして欲しい。奴隷だった彼女が盗賊に襲われている所を助けた後に、一度奴隷解放したんだ。その後に再契約したんだよ。俺は、彼女の事を奴隷としては扱ってない。今は主従の関係に近いのかな?言っておくが、主人の立場を悪用して手込めに…とかはしてないからね。」


「それじゃあ、彼女とかじゃないんだ?」


 ナンシーは、俺の腕に自分の腕を絡ませながら尋ねてきた。胸に当たってるよ、と言いたいが、今は胸の感触を全力で楽しんでみる。すると、またもやシェリーが、


「私は、一度解放されたとは言え、奴隷です。いずれご主人様のお情けを頂戴し、ハーレムの末席に加えて頂ければと思います。ナンシー様は正妻狙いですか?」


 俺は顔が青ざめた。しかしナンシーの反応は逆で、


「うん。私、立候補しちゃおうかな?」


 と、上目遣いで更に腕を組む力を上げて、俺を見つめてくる。可愛らしいと純粋に思った。

 美人さんである。破壊力抜群であるが、流石に展開が急すぎる。


「まだ会ったばかりですよ!」


 と言うが、


「強い男とはハーレムの人数で格が決まります。」


 とシェリー。何処の教えだろうか。


「私思うに、シェリーちゃんとなら仲良くやれそう。私って、胸が大きいじゃないですか、いつもいつも冒険者にいやらしい目で見れるんです。ランスロットさんが私の胸を少し見ていたのは分かりましたが、直ぐに見なくなったのも分かりました。ランスロットさんは、私を一人の人としてちゃんと見てくれた初めての男性なんです。

 昨日は、私を庇って殴られていましたよね。あれ、避けられてたら、私は大怪我していたと思うんです。殆ど面識のない私を庇ってくれて、格好良かったです。それと、この国は一夫多妻を認めてるんですよ。昨日ランスロットさんに触れた時に電気が走って、運命を感じたんです。この人が私の騎士様だって。周りに碌な方がいなくて今まで誰ともまともにお付き合いした事が無いので、何かと不都合が有るかも分かりませんが、宜しくお願いします!私のような女は嫌いですか?」


 優しい感じで、美人と言うか可愛らしいと言うか性格も穏やかな感じだし、嫌うわけがない。


「嫌いなわけ無いじゃないですか。好きか嫌いで聞かれたら、勿論好きですよ。昨日は胸を見てしまって申し訳ない。しかし、綺麗な方の胸元が開いていて目のやり場に困ってしまいました。」


「ふふふ。ランスロットさん、女ってね男性の視線には敏感な生き物なんですよ。確かに私も気にはしてるんですけど、制服のブラウスは丁度良いサイズなのが無くて、ボタンがちゃんと出来なくて困ってるんです。後、私の事はナンシーって呼んでくださいね」


 なる程、あの谷間はそう言う事か。届いたランチを食べながら話が続く。


 うーん、いきなりハーレム候補とか言われてしまった。


「今晩改めて今後の事、冒険者としての事を食事をしながらお話しようね」


 とナンシーとシェリーで約束し、何故かトントン拍子に話が進んでいく。まるで姉妹のように仲が良くほっこりした。


 ランチを終え、取り敢えずギルドに戻った後は、一旦解散する事にした。

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