第55話 ダンジョン二日目 セリカの異常
day18
明け方少し前目覚めると誰かに抱き締められていて、胸の感触が伝わる。恐らくセリカだ。意外と大胆だな。と言うより不安なんだな。彼女の胸を楽しみたいが我慢する。
少し向きを変える。心臓の鼓動が心地よい。
「起きたのね」
とセリカが言う。
「やあ」
と返すと
「志朗のエッチ。私の胸を触ってたんでしょ?」
「いや、心臓の鼓動が心地よくてね。生きてるんだ。君を助けて良かったなと思って音を聞いてたんだ。落ち着くよ。」
「あー志朗さんってずるいなー大人だなー。ナンシーさん達が好きになるの無理ないなー」
と俺の頭を胸に押し当て
「どう?どうですか?あたしは?。あはははもうエッチなんだから。」
と頭を撫でてくる。何か違和感がある。こんな子だったかな?
やがてリンダが見張りの交代の為テントに来た。
俺が出ていくとセリカもついてきた。
見張りをニーベルング達に任せてオーガの鎧にオーガの魔石で強化を行った。魔法反射,+10 魔法を反射し防御力を100%アップ
また凄いのが。セリカが見てる。
「見てて面白いか?」
と聞くと
「うん。真剣な志朗さんって見てて飽きないよ。皆が慕うだけの事は有るんだなって感じるの」
「そうか。じゃあこれ装備してね」
「はーいわかりました!軍曹殿」
と敬礼して何故か俺の前で寝巻きから着替え出す。
「せ、せ、セリカさん。おっぱい見えてるんだけど。」
「お兄ちゃんになら見られても恥ずかしくないもん。」
とあかっんべーをして、着替えてた。
「年頃の女の子なんだから彼氏じゃない男の前でおっぱいを晒すのは良くないよ」
と言うとあっけらかんとして
「そんな事言って私の裸見たいんでしょ。仕方ないなーエッチなんだから。」
と訳の分からない事を言い出す。胸を寄せて強調してさえしている。
「ねえブラ着けて下さあい」
とブラを俺に持ってきてせがむ。おかしい。何かがおかしい。ブラを着けようとすると手を掴み胸に当てて来る。
「あっエッチなんだー。もうどこ触ってるの~」
と間延びして言う。これは異常だと確定して取りあえず茶番につきあう。
「ごめんごめん手が滑っちゃった。」
「もう仕方ないんだから。これで許してあげる。」
とキスをして、終わると突然
「寂しかったよー。やっと仲間に会えたよー。志朗さん私の事を見捨てないでね」
と抱きついて俺の胸で泣き出した。
しまった。心のケアをするんだった。さっきからの理解不能な行動は心が折れかけているサインだ。やばいやばい。崩壊の手前だ。
「そんな事する訳ないだろう。俺の大事なセリカ。愛してるよ」
とぎゅっと抱きしめた。
少しも美人女子高生とのスキンシップを楽しめなかった。
きのう魔物と戦わせてしまった。俺はバカだ。
まだ時間があるからと一度寝るようにした。
布団に入ると
「ごめんなさいね。あたし変だよね自分でも分かるの」と言い寝ていった。
ニーベルングを呼びセリカの話をする。
時間が必要だと。
やがて朝が来て皆に念話した。シェリーにブラックスワンに話をしておくようお願いした。
セリカが心に傷を負っていて奇行が見られるので温かく見守って欲しいと。
起きた後は皆が居るからか落ち着いていた。
「さっきはごめんなさいね。もう大丈夫だから」
と一見すると大丈夫に見えた。そんな訳はないと分かってはいる。
取りあえずニーベルングにセリカの様子を見ててもらう。俺はセリカの手を取りダンジョンを進む。11階からは分かれ道などが出て来た。石造りのダンジョンはいかにもダンジョンって感じだ。高さは4m位有る。進むにつれ面積も一気に大きくなったのが分かる。
セリカはいつの間にか俺の腕をぎゅっと抱きしめてくっついている。
魔物が出始めた。オークナイトが数匹単位で出てくる。俺の出番が無い。
先頭はフレデリカ。最後尾がレフトアイで俺は真ん中だ。
今までの階層は20分も有れば突破したが1時間くらい掛かりそうだ。
何故なら40分位進んでようやく階段が見えてきた。
階段の前にオークジェネラルが立ち塞がっていた。
さしずめフロアボスという感じだ。一気に魔物のランクが上がった物だな。
セリカは相変わらず
「志郎さん♪」
と呟いてばかりだ。仕方が無いので
「ねえセリカ、ちょっとあいつ倒してくるから腕離して貰っても良いかな?」
と聞くとぶすっとした顔をする。
「俺があいつを倒してくるから、格好良く闘うのをセリカに見て欲しいんだ。」
と言うとぱっと明るい笑顔で手を離し、
「なんだあそう言うことかあ。頑張ってね!」
とキスしてくる。
「行ってくるよ」
とジェネラルに向かう。やっぱり変だな。この子絶対こんな性格じゃ無いよな。結婚するままで処女を守る感じの美人だと思っていたが、簡単に股を開く勢いだ。
俺はジェネラルに相対して数合斬り合い、首ちょんぱを行ったあと、セリカに親指を立ててサムズアップで笑顔を向けた。
取得スキルは状態回復。麻痺や石化も回復させられる。良いスキルだ。セリカに使うも期待はしてなかったが効果は無かった。
ドロップは片手剣だ。ミスリル製だ。早速セリカにプレゼントしたらやたらと喜んでいた。
魔石を回収して12階へ降りる。
俺はダンジョン攻略を急ぐ決心をした。セリカの異常をどうにか出来るスキルを期待してだ。実はセリカの持っている魔法が効きそうなのだが魔力がかなり要り、ステータス不足で今の魔力じゃ魔力が足りない為使えない。
俺がスキルを手に入れるかセリカのレベルが大幅に上がるかのどちらが早くなるのだろうか。
順調に進み、15階に来ていた。13階で昼休憩を行い、中々順調だった。15階はリザードマンナイトが大量に出て来た。そして行き止まりにボス部屋があった。
リザードマンジェネラル。先ずはシェリーが斬りかかったがあっさり吹き飛ばされた。トリシアも蹴られて頭を打ちあっさり気絶する。レフトアイとフレデリカ2人掛かりで剣を振るっても相手にならない。不味いなと思い、皆を下がらせてアイスアローをしこたまぶち込んだ。
左腕を犠牲に頭を守り切り一気に距離を縮めてきた。ふとセリカがフラフラと前に出てくる。ジェネラルの標的が変わった。一瞬のうちにセリカの前に出て斬りかかった。やばいと感じ転移でセリカとの間に無理矢理入るも剣を完全に防ぐ事が出来ず肩を大きく斬られてしまった。
「ぐふ」と叫ぶ。周りが悲鳴を上げる。俺に追撃をしてくる奴に魔法で皆が攻めるが大して効かない。辛うじてアイスウォールで一撃を躱しヒールを掛ける。何とか動けるようになるまで皆が必死に攻撃を仕掛け、右手を切り落としていてくれた。
ほぼ無力化して最後は俺が後ろに回り首を切り落とした。
普通に闘っていてら問題なく勝てた相手だ。しかし俺が居なかったら何人かは死んだで有ろう。スキルは空間魔術だった。
これは任意の大きさの物の中身を大きくする。
込めた魔力により大きさが違う。テントで使えば入れる人数変えられそうだな。
倒れている者を見るが、幸い打ち身程度で済んだ。
皆を回復してドロップを確認したら、ドラゴニックフルメイルだった。俺が自ら着ることになった。周りから無理矢理装備する旨を約束させられた。まあ無茶したからなんだけどもね。
セリカは先程の事を覚えてなかった。
早急に何とかしたい。
16階に降り、階段の所で野営を行う事となった。
収納から出した食事を終わると早速テントの中を広げる。
20畳くらいの大きさになり、外から見ると普通のテントが驚く広さになり、皆眼をきょろきょろして驚いていた。
部屋の中央に俺が寝て、隣にセリカが当たり前のように寝た。
そして抱き付きながら
「どうして志郎は私にエッチな事しないの?私の初めてを貰ってよ。無理矢理でも良いのに。この意気地無し!」
と言うと周りに他の女の子達が居るのにも関わらず服を脱ぎ捨てて、俺の手を自らの胸に持ってきて、
「据え膳ですよ!さあお食べになって」
と言う。絶対おかしい。俺はキスをして服を着せる。
「俺は君のことを大事にしたい。こんなダンジョンなんていう殺伐とした場所じゃ無く、ちゃんと雰囲気を造り、俺の部屋でおもてなしをして、思い出を作りたいから、もう暫く待とうね!」
そう言うと残念そうに
「そっかあ残念だなー。でも私の事をちゃんと考えてくれてるんだ。待ってるね!」
と周りが服を着せるに任せて寝ていった。
ナンシーは
「さすがにおかしいですね。余程辛い思いをしてきたのでしょうね」
と俺の隣に陣取り腕を組んで寝ていった。俺も寝る事にした。
今夜は俺は野営の番から外された。回復で魔力を使い過ぎたからで、俺も見張りをするというと全員がただただジト目をするので、諦めて
「分かった大人しく寝るよ」
と寝る事にした。そしてセリカの頭を撫でて
「絶対正常にしてやるからな」と呟くと間もなく意識を手放していった。
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