第355話  2体目

 俺は当初しようとしていた四肢を切り落とす事を忘れ、奴の首の後ろに飛び乗った。


 そしてその首に手を当て、時間停止を解除した。


 解除した直後に奴隷契約を強制実行する。

 すると奴隷紋が手を当てた所に浮き上がってきた。


 俺はよし!と呟き奴の前に立った。


 奴は戸惑っていた。


「貴様!俺に何をしたのだ?」


「貴様だと?ご主人様に向かって失礼なことをぬかすな!謝れ!」


「何をふざけてぐあああ」


 奴がのたうちまわり始めた


「貴様は俺の奴隷になったんだよ。命令を聞いて実行しないと数分以内に死ぬぞ」


「何だと?ぐあ。うがあああ、呼吸ができぬ。うがー」


「命令に背いているからだ。死にたくなかったら命令に従うんだ」


「うっうっ、人でなし!」


「残念ながらそうだよ。ひとじゃない。大天使だって言ったろ。そら、そろそろくだばるぞ。早く謝るんだな」


 ゼエゼエと虫の息になってきて倒れた。そして堕ちた。


「ごべんばざい、ごじゅじんじゃま」


「そうだ、それでよい。楽になったろ?俺はご主人様だ」


「はい、ご主人様。申し訳ありませんでした」


「よし、俺に危害を加えようとしたり、命令に背けば苦しみが待っていて、最後は死に至る分かったな?」


「はい。分かりましてございます」


「まずは人形になり、許可を出すまで誰も傷つけたり小攻撃を禁ずる。俺より会の命令権はまずはヒナタ、俺の妻、ヒナタの屋敷に住んでいる者の順だ。屋敷に住んでいる者の順番は屋敷に来た順だ。これから屋敷に向かう。逃げるのも許さないからな。それと自殺を禁ずる」


「畏まりましたご主人様」


 情けない奴だった。あっさりと屈服したのだ。

 人形戻った奴は裸だった。可もなく不可もなくな外観。


 服を出して奴に投げた。しかし首を振る。まあ、嫌だろうなと思う。ピンク色の女性用のメイド服だからだ。以前誰かが罰ゲーム的に誰かに着せようと作った物だった。


「着ろ」


 すると苦しみだし、苦しみから抜けるのに渋々着ていった。


「今からヒナタの屋敷に行く。誰にも攻撃をしたりするな。揚げ足を取ったり抜け道を探すな。じゃあ行くぞ」



 俺はゲートを出し、嫌がる奴の首を掴みながら、ゲートを通るのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る