第323話 飛ばされた

 ニーベルングに出来れば行かないでと言われたが、放置も出来ずに調査だけだからと調査に来ていた。


 探索するエリアの林を皆で調査していたが、1時間もしないうちに見た事の無い魔物に襲われた。


 あっさり倒したが、皆首を傾げていた。

 見た事の無い魔物だったからだ。ゲートをクロエのいるギルドの解体場に出し、調査を頼んだ。


「確かに見た事の無い魔物ね。ミノタウロスとサイクロプスを足して割った感じね」


「頼むよ。まだ戦闘中だからこれで」


 俺は急ぎクロエに死体を押し付け、キスだけして戻り、状況の把握に努めた。


 今いる場所は厳密な6ダンジョンの中心から少し外れていた。その為に中心と思われる方角に向かっていた。


 だが、なかなか先に進めなかった。見た事のない魔物ばかりが出てくるからだ。


 魔石の色も黄色かった。青色のしか見た事が無いが、間違いなく魔石だが、皆に聞くも全員初めて見る色だった。


 中心から500m位に俺が足を踏み入れた頃に異変が発生した。


 すぐ近くにムーンストーンの4人がいたが、急にまばゆい光が発生したのだ。上を見ると魔法陣が上空に見え、その光に俺とムーンストーンの4人の計5人が飲まれたのだ。そして光が消えた時に見えた景色が今までと一変していて、陰気な瘴気の漂う草原にいた。


 そう、がらっと場所が変わったのだ。


 急ぎ色々試した。まずは念話だ。念話が届いたのはレフトアイ、ライトアイ、リギア、トリシアだけだ。ステータスには妻達や契約者の名前はそのままだが、遠くを含め気配を感じられなくなった。


 ショックだったのはゲートも開かないと判明した時だ。


「トリシア警戒しろ。レフトアイは俺に貼り付け。リギアは周辺の異常を探れ。ライトアイは皆のフォローだ」


 俺の指示に皆頷く


 俺は少し離れた所に動き、先程現れた場所に向けた短距離のゲートを出すと、ゲートが出て使えた。


 また、天界にゲートを出そうとしたが出なかった。


 困った事に成った。4人は刻印がまだだから念話が出来ない。急ぎ収納から念話の指輪を出し装着させ、テストをした。


 この場に留まるのは良くないと判断し、剣を倒した方向に移動を開始した。


 リギアに所感を聞くと、転移の魔法陣のような気がすると言うのだ。


「あれは召喚や転移系の魔法陣に見えましたわ。月も2つも見えていますからこれは異世界に飛ばされたのではないでしょうか?」


 俺はリギアに言われて空を眺めたが、そこから見えたのは2つの月に2つの太陽だ。2つ目の太陽は小さかった。


「まじか。連星系じゃないか。なんて事だ。参ったな」


 レフトアイが不安そうにしていて


「ねえ、ランスロット様、我々はどう動いたら良いでしょうか?」


「まずはここを離れよう。それと絶対に俺から離れるな。ここは別の星だ。天界にもゲートが開かない。あの魔法陣を作った奴を突き止めなければならない」


「帰れると思いますか?もし帰れなかったらどうすれば良いのでしょうか?」


「なあトリシア、まだ来たばかりだ。帰れない時の事を語るのは今は止めよう。弱気なんてお前らしくないぞ。それに俺は数年後に水樹達と一緒にダンジョンに入っている幻影を見たんだぞ。そこにはちらっとだが大人になったお前達も見えたんだ。だから必ず帰る事が出来る。まだ水樹とは刻印を刻んでいないし、彼女は20歳位の見た目だったから、いくら年数が掛かったとしても彼女が、20歳になる位には帰れる筈だ。だから帰る方法は必ず有る。だから諦めずに頑張ろう!」


 そうやってこの世界の探索を始めるのであった。

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