第353話  死闘

 俺は怒りと死者蘇生使用後からの復活が出来ていないまま飛び出してしまった為、判断能力が著しく落ちていた。


 不意打ちだったが、首を落すべきだった。

 ヒナタの貞操にしか目が行かず、ヒナタの初めては俺のだ!としか思わなかったのだ。そんな物入れられてたまるか!と一物を切断する事しか考えられず、実行したのだ。


「小僧!何をする。我の子を孕ませるのを邪魔をするな!」


「ヒナタは俺の女だ。他の奴にやらせる訳無いだろう!そんな汚いのをよくも俺の女に突っ込もうとしたな!それにテメエの汚えのはほらこの通り!2度とやれないぞ!」


 俺は切り取った奴の一物を燃やした。


「なんて事を!これではこの先孕ませられぬではないか!貴様ら楽に死ねると思うなよ!」


 俺はヒナタにヒールを掛け、失くなった腕を再生した。


「少し休んでいろ。お前を犯そうとした奴は絶対許さん!殺してやる」


「駄目です。生きて捕らえてください。貴方なら可能です。考えがありますからお願いします」


「分かった。まだ頭が回らないから指示に従うよ」


 俺は手足をもぎ取り、奴隷にする事を考えた。


 奴はどうやったのか止血をし、俺に突っ込んできた。

 奴の鉤爪はライトソードの一撃を受け止め、ウエイトの違いから俺は吹き飛ばされ、400m位落下し地面を転げた。奴はブレスや口から何かを吐き出してきた。


 奴が飛ばした何かが左腕を掠ったが、驚いた事に俺の腕がかなりの勢いで腐りだしたのだ。慌てて切断し、欠損修復をした。避けたつもりだったのだが当たっていたのだ。


 俺も攻撃を当て、足の指を何本か切り取ったが、俺も殴られ肋を全て持っていかれ、ヒールを即掛けていたりした。


 一進一退を繰り返していた。

 戦いが長引いているのは転移が通用しなかったからだ。出現位置を予測されてしまい、攻撃が当たらない為、正攻法で行くしか手がなかった。


 1時間位闘っただろうか、埒が明かず裏技を使う決断をした。


 奴の上にゲートを出し、そこから己の体に武装させ、落下させたのだ。鈴を付け、わざと注目させておき、転移で奴の背中に飛んだ。


 奴が俺の予備の体を意気揚々と切り裂いている間に、翼をもぎ取った。


 錐揉み状態でかなりの高さを落下していく。俺は戦いながら、屋敷から離れるようにしていた。そして何もない岩場に奴は落下した。

 片腕を犠牲にし受け身を取ったが、口から血を吐き出す位にダメージが入り、


「くそ、人間如きに我が!くそ、騙された。何が今ならヒナタが弱っているから孕ませられるだ!くそ、翼をやられた。何だ奴の技は?確かに間違いなく奴の体を引き裂いたのに!分身ができるのか!」


 俺も落下位置に行き、ずたずたになった己の体にため息が出た。


 地上に堕ちた奴は高さ15mはあろうかという位にでかかった。


「トカゲに羽が生えた畜生の分際で大天使に楯突くとは片腹痛い。お前に勝ち目は無い。降伏しろ。ヒナタの頼みで命までは取らない」


 手負いとはいえ、まだまだ戦えるので油断は出来ない。しかも強いし、手負いの方が恐ろしくもある。しかし、空に逃げられないのは大きいのだ。俺は奴に向かい突進するのであった。

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