第259話  尋問

 俺は捉えた魔道士をワーグナーの城内に連れてきて尋問を始めた。

 今いる国の隣国の宮廷魔術師だったと。国王は既に魔王軍に討たれ、この女も囚われ、隷属の首輪を装着させられ、更に家族を人質に取られているという。それで命ぜられたのがこの国の国王の首を取ってこいと。そうすると娘を返してやると言われていて、従わざるを得なかったと。従わないと無作為に選んだ住人を使い、公開レイプと言われ、渋々従ったと。娘は未婚の純粋な性質なので、もし実行され場合その場で舌を噛み切るか、何らかの手段で自殺するであろうと判断したという。

 自分で言うのは何だが、己の若い頃に瓜二つで、大変美しいのだそうだ。そんな娘が犯されるのをどんな事をしても避けたかったと。


 幸いまだこの街は被害がない。城壁と城門が物理的にダメージを喰らい、兵を倒そうとはしなかったし、決して打って出てこようとはしなかったからだ。あくまで国王の首を取れとだけ言われていて、魔物の指揮権を渡され、他の街は手出しせず、ひたすら王城を目指していたという。

 娘が捉えられているのは城の隣の塔の上階だそうで、とてもじゃないが手が出ないという。


 何でもずっと子宝に恵まれず、20代半ばでようやく授かった一人娘という。己の命を差し出すのでどうか救ってほしいという。俺の動きをよく見ていたようで、俺なら可能と判断したらしい。

 確かにそれなりに…昔は美しかったと思われるキレイな歳のとり方をしている。泣いて俺の足にしがみついていて、可愛そうで救助を約束してしまった。


「いや、娘がさぞ美しくぽちいと思ったのは内緒です!」とまたもや誰に言っているのか、言い訳という本年が出ている主人公である。聖人君子ではない。性人と言ったほうが良い御仁である。最早英雄色を好むを地で行っている。


 魔王はそうやって捕らえた者には手を出させないという。但し、当たり前だが、脅した相手が有用と思う間はである。失敗が伝わるとゴブリンの群れに放り込むそうだ。

 そう言えばセレーシャから聞かされており、別段驚かなかった。

 この魔道士は奴隷にしているとはいえ俺が預かっている。というのは全滅させた事とし、指揮権を持った者は既に消し炭と説明し、ワーグナーにて監禁と言っても、居室を与え、行動制限を皇帝宮の敷地内とし、建物の外に出る場合誰かの付き添いをとしていた。


 そこでセレーシャの話をすると驚いていた。見知っていたのだ。その為セレーシャに身柄を委ねた。


 そして少し城を離れた後、この国の国王と対面する事としたのである。


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