エラーから始まる異世界生活

第260話 捜索

　この後の事を皆でどうするか話し合い、俺が単独でクラリスというのだが、宮廷魔導師の娘を救出する事とした。

　誰も反対しないし、セレーシャにはお願いされすらした。俺が皆に苦しい言い訳をせずに済んだのは、魔王の所業のあまりの非人道的な所業をセレーシャが俺に

　必死に訴え、行かざるを得なくなった体というまさに願ったりかなったり何故でうはうはな感じなのだ。

　しかめっ面で渋々行くと約束したが、心の中ではガッツポーズだ。また１人綺麗所ゲットと。

　俺の飛行なら一時間半て全てが終わる筈だった。念の為に滅びた城にセレナと、戦闘を得意とする一部が待機だ。

　とりあえずクラリスが捕らえられている国の王都までの地図を確認し、街の名前、 道中の分岐、その辺りを メモし直した。そうして 途中途中の町の近くに降り立ってはセレナに、転移 ポイントを設定させつつ行く。 何があるかわからないので、万が一の為の保険だ。しかし、どこの街も門を閉ざし完全に籠城している状態であった。

　おそらくセレーシャが 魔王軍を率いた辺りから噂が伝わり、更に先の魔導師が隊を率いて通過のみではあったが、臨戦態勢を取っているようであった。

　念の為街の中には入らず、街のすぐ近くに降り立つようにしていた。

　そうして街道沿いの宿場町を通り過ぎて行き、大体一時間半をかけて宿場町を10程過ぎた頃に、ようやく城が見えてきた。

　俺の気配察知からはどうやら魔王はこの城にはいないらしい。まず周辺に一度セレナにデートポイントを設定させ、 王城街の中でも同じくゲートポイントを設定していく。

　街の規模はワーグナーよりも大きかった。 我が大陸の 最大都市であるワーグナーの王城街を遥かに超える規模の街がそこにはあったが、 出入りしてい者の姿もなく、上空から見る限り街中も人の気配がほとんどない。正確には外に出ている者の数である。建物の中にはかなりの人数がいるのが分かるが、この街の中は魔物が闊歩していた。

　そして 早々に城を発見したというよりも、当然の如く城が目立つところにあるので一目見てわかる。

　そして目的の塔のある場所が分かったので、先ずは塔の最上階から探索をすることにした。

　外壁には当然のごとく空気を入れ替えるための小窓がある。

　小窓といっても煉瓦造りか、レンガ調の装飾をされた塔なのかもわからないが、 辛うじて頭一つ入るかどうかぐらいの切り込みがある、そういうのが点々としている。

　そして、漸く誰かの姿を捉える。 投獄する、そういった為だけに作られた塔であるようであった。

　そうやって中を覗いて行くが、なかなか見つからない。無人であったり、他の者だ。

　ようやく目的の部屋に辿り着いたが、そこから見た情景に俺は絶句した。

　その 小さな部屋の中で 一人の女性が首を吊っていたからであった。