第364話  救援物資

 翌朝街にて提供される服を確認すると、少女達の服がある程度準備されていた。俺は感謝をしつつ対価を払って行く。


 遠慮されたが受け取って貰わないとこちらも困ると話をし、半ば強引に対価を渡していく。頼まれてもいなかったのだが、元々ヒナタのところに少女達を引き渡す時に持参金を渡されていたのだという。


 なので結局のところそのお金を返す形になる。


 そして女性達が着れる服もある程度用意されていた。古着もあるが新しいのも含めて用意されていた。緊急だからと、古着でも構わないから着替えが欲しいといい、ただ無理やり接収されても恨まれるだけなのでやめてくれとお願いをし、売ってくれるのを限定にした。値段相応に支払えば文句を言う者はまずいない。


 実際に本当に常識的な数だけの服が揃えられた。一人一着が何とかあるような形だが、かなり助かるのでお礼を言う。


 ゲートで服を屋敷に運ぶ。また誰も住んでいない屋敷があり、痛みは激しいが修繕すれば何とかなるというような屋敷があるというので急ぎそこの修繕をお願いし、提供して貰った。街で管理している屋敷で、ヒナタが来る前に貴族が住んでいた屋敷らしい。

 一家惨殺事件の後誰も住みたがらなかったらしいが、関係ない。


 街の者総出で、大工仕事ができる者が優先的に直してくれると言う。その為街に返す女性達全員を一度この街に連れて来て、弱っている者や欠損修復から直したばかりの者達は念の為に療養とし部屋に押し込んでおくようにお願いをしている。








 また学校を開く為の準備も合わせてする事になった。この先この世界の発展に寄与する事になるであろうと半ば確信をしてはいる。その為の場所も確保しなければならないが、その為の建物も作って貰うようにお願いをした。


 当面は提供して貰う屋敷の一角に学校を開く。仮校舎として開く事で話を進めていた。そう女性達だけで住むには広いからだ。勿論一人に一部屋と個室を与えてしまうと部屋は足りないのだが、当面は4人で一部屋になる形になる。勿論独立したりして空き部屋が出てきたりはするが、とりあえず当面はそんな形で行く。


 勿論いずれは一人一部屋で住まわせてあげたいので、彼女達が住まう屋敷も建てて貰う。それをするには時間もお金をも掛かるが、ヒナタによって今まで貯められていたお金を全部投入する事と、学校を作ってくれるお礼として街ぐるみで準備をする事となった。


 実際問題文字の読み書きを含め、識字率があまりにも低い。約1割の者位しか文字の読み書きもできないし、簡単な足し算、引き算しかできない者があまりにも多かったのだ。この状態では街の発展もあまり見込めない。


 ガラの悪い奴が多いのはこのあたりも一因であろうと判断していた。ただ現実問題としてある程度の年齢になっている者は、労働力として家計を担う役割を持たされている者があまりにも多いので、集中的に教育する事ができない。


 その為、仕事を持つものは休みの日だとか、ちょっとした時間に教育をする、そういったような形になる。そのような話をしていたが、小さい子供達に対しては食う事にも困る者が多いと言うので、昼食を出す事にする。またその者が食べる食料位は持たせられるように、毎回夜に食べる分のパンと、ちょっとしたおかずを持たせる。


 その食料を目当てに子供を学校に入れる親も出てくるだろうという判断だ。勿論ある程度の収入のある家庭には希望すれば一段上等な教育を施す。その為に上級教育に関しては成績上位者、もしくはお金を持っている者からは授業料を貰い教える話になった。


 この辺りのルールはおいおい決めて行って貰うが、最低限の教育を受けられるようにしていき、いずれは義務教育と化すような話もしている。そう俺の居た世界での義務教育の話を説明しておいたのだ。


 目を輝かせそういうことが可能なのかと疑問視をしていたが、それにより町の、この世界の発展が可能なのだと力説をしていた。そうやって街からの女性達への服の受け取りなどが終わった後、今度はジョンの所に向かうのであった。

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