第297話 掃討戦
今俺は猛烈に腹を立てていた。
天使達の戦闘訓練が全く進んでいないからだ。50名が目覚ましく伸びているだけだった。
俺はいっその事居城区に奴らを放とうかとさえ思うようになっていた。居住区で奴らが暴れだしたら流石に徒労を組んで戦うだろうと。しかしリリィとオリヴィアが察したようで、オリヴィアは首を振りリリィが
「志郎様。お怒りはごもっともですが、それをしても全員が死ぬだけです。あれはらは上級に上がれなき者達です。自己犠牲や戦う選択肢ができた物が上級に上がれます。彼ら、彼女達は所詮下級天使なのです」
そして教えられた。時折下級天使からオリヴィアの様に上級天使が出てくるが、それは稀だと。なので上級天使の数が少ない。
上級エリアにいた者達は戦いそして敗れたのだと。
下級天使は約1万年すると転生し下界で生を全うする。
大概は傑物になり、魂の位を上げ、何度か転生した後に上級天使の素質を得ると。
俺は天使の仕組みを知らなかった。本物の天使は上級天使で、下級天使が面倒を見ているのは天使に見えるただの魂だった。
リリィが避難させていたのは下級天使の中でも転生間近の者達だ。転移局に向かっている時に襲われ、逃げられるのが上級エリアしかなかったと。おまけに転生前に俺の魂に触れた為全員がまず間違いなく傑物になり、彼女達は上級天使の素質を持って転生すると。俺達は彼女達を探し出して保護するべきという。
恐らく俺と縁強いあるワーグナー、バルバロッサ、ボレロ周辺に数年以内に生まれると。発見するまで数年〜20年は掛かるので気の長い話だ。
今回下級天使があれだけいるにも関わらず新たに上級に成れるのが50名しかいなかった。
仕方がないので気持ちを入れ替え、またもや上級エリアに行く。
改めて上級エリアを見ると、そこは下級天使を管理する為の場所だというのが分かる。
しかし復旧には数年は掛かるらしい。
それからも遅々として進み、イライラしていた。どれ位経過しただろうか?後一日で踏破する最奥まで来ていた。時折様子を見るかの如く奴らが現れたが、恐らく最終決戦に備えて奥に逃げ込んだと思われた。
壁は厳重に封印し、翌日の決戦に備えて下界に戻るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます