第103話 修行2日目

 朝起きるとユリアが俺の胸に頭を埋めてシクシク泣いていた。頭を撫でながら

「おはよう。体は大丈夫かい?」


「うん大丈夫なの。あのね、ユリリンは元気なの。今はこれが夢じゃなかったから安心してたの」


「所でそのゆりりんと言うのは?」


「えーシロリンはゆりりんの事知らないの?これでもドーム満員にした事あるのにショックー」


「はい?シロリン?うーんなんかさ、テレビで見た事ある気がするんだけど俺はさ記憶を無くして気がついてからまだ1週間位なんだよ。だから君の事はもし会ってたりしても覚えてないんだ。ただ、この世界に来た後は日記を付けてたから知識としては色々あるんだ。あのね、80人の高校生と一人のサラリーマンの駅での消失事件知らないかな?」


「記憶喪失大変だね。あっ、それ知ってるよ!確かに大騒ぎだったね!私もスマホで何度も見たよー」


「そのサラリーマンが俺なんだよ。因みに君が転移するどれくらい前の事だった?」


「えっとねー半年位前かなー。私の中じゃその事件1年前かな。そうそう、そのあと謎の小学校の80人失踪もあったよー」


 現状と俺の年齢、他の召喚者の事、ユリアの転移の話しとかしたが首を傾げるだけとまだ早かったみたいだ。

 しかし、やはり時間軸がおかしい。

 俺が考え事をしているとユリアが俺の顔と当たる距離で俺を見ていた。

 そうしていると朝のトレーニング時間なので走り込みに行こうとしたらユリアも行くと言う。


 なんでもアイドルしてた向こうではスタイル維持の為ランニングは欠かさなかったと言うので一緒に走るがそこそこ付いて来れていた。ただ、半年のブランクはきつそうだった。

 軽めの柔軟を行ったがユリアの体の柔らかさに呆れた。アイドルする前は新体操をしていたと言うが人間技じゃないと思う柔らかさに唖然としていると彼女はどや顔だった。


 いつの間にかクロエとオリバーも混ざっていてメイドさんが食事前に風呂にと言うので皆で入るが、なぜかユリアがモジモジしてるので、クロエは


「何やってるの?きのう清めの儀式までおねだりしてやってもらったんでしょ?私なんか胸を揉まれただけなのよ。貴女が羨ましいわ」


 クロエが良からぬ話しをしてるっぽいが皆で気持ち良く入り、ユリアの視線が固定されて居たが有る事を言い、早速三人に頭を叩かれていた


「ひょっとしてシロリンは不能だったりするの?美女4人とのお風呂なのに」


 これが引き金だった。

 クロエにみっちりこの世界は冒険者として動く時は色目を使うのは不文律として禁止されていて、男性は直ぐにわかるから自制が大事でと言っていると俺の事になってきてたので、俺は早足に食堂に逃げて行った。


 食事の時に今日の予定の話しになり、午前は俺は修業、セチアは貴族の勉強で、ユリアも一緒に受けてみる事に。午後から新たな奴隷を受け取る事なった。


 午後の奴隷の受け取りと服の買い出しをセチアに任せ、俺は屋敷をオリバーと見に行く事になった。クロエはギルドでの外せられない来客が有ると言うので、昼過ぎにここに不動産屋が来る。どうも国王からも口添えがあったらしく、最近取り潰しになった侯爵だか子爵の屋敷が国有になっており、それを斡旋してくれるという。国王に本格的に気に入られたようで、クロエの言うには見なくても即決出来るレベルらしい。どちらかと言うと国王の顔を立てる為に行くらしい。

 この時は別の意味の国王の本気を感じるとは思いも寄らなかったのだが、楽しみで早く行きたくて期待を膨らませていた。


 戦闘要員の二名は二人で剣の手合わせをしてお互いの実力を確かめる事にしている。


 マクギーが来たので挨拶をして今日の修業になったが、俺は二刀流を教えて貰う。

 その前にきのうの追加で二刀流相手の打ち合いを30分位行い、次に俺が二刀流でやはり基本の型からゆっくり始めて30分もすれば周りが驚く速さで、次にマクギーも二刀流で始めてやはり30分もすると次の獲物に。マクギーが槍に替えてこちらも終わったが、マクギーの方が先に体力が尽きて昼前に終わったのだ。


 殆ど教える事が無くなり、明日は槍と棒術でそこで修業が終わりそうといい、明後日に行う模擬戦は1:9の割合でスキル無くても俺が勝つと言う。スキル入れたら既にこの国では俺に勝てる者はもはやいないと言いきっていた。

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